子供の頃に見てたテレビはあんなに面白かったのに今はひどい、とつい思うが、それは「自分が今のテレビの面白さについていけないだけ」なのか。それとも昔は自分が物知らずの子供で他に楽しみもないから感動しちゃってたのか。たとえば中学時代、大河ドラマは次週が待ちきれないほど面白かったが、今見たら「なんじゃこりゃ見てられん」だったのか? 当時の大河にも今年の堺正章みたいなのが出てたのか?

 そんな「テレビは進化したか退化したか」を確認すべく『世界の何だコレ!?ミステリーSP【秋のUFOスペシャル!遭遇事件&ナゾ映像】』を見た。

※写真はイメージ ©iStock.com

 子供の頃のUFO番組は、何回見ても恐怖のあまり吐き気がして夜眠れなくなるほどの衝撃番組だった。年月がたち、世間も私もUFOへの対し方は変わっている今、あえて2時間スペシャルUFO特番! 力が入ってるに違いない。

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 ……入ってませんでした。そもそも、昔も今もシロートの撮ったUFO写真や映像はボンヤリしていてそれ自体はけっこう見るに耐えないモノで、そこにもってきて「目撃者のボンヤリした談話」がさらに退屈さを増す。そのボンヤリを逆手に取って、昔のUFO番組は「ワケがわからない物体、未知の生命体が地球に来る恐怖」を画面、構成、音楽のすべて駆使して煽る(あの矢追純一シリーズのジングルは、当時としては最高にコワく、それが今にまで伝わってるんだからすごいことだ)。信じてるか信じてないかはともかく、「UFOが来る」を貫く。今は違いますもん。「動物おもしろ動画」みたいなもんと同じように「UFOふしぎ動画」を紹介してスタジオで「すご~い」「ええ~ほんと~?」。アリバイみたいに元パイロットや大学准教授を呼んできて「風船でしょう」「よくわかりません」とか言わす。放送倫理によりUFOがあるなんて言い切っちゃいけないのかもしれませんが、適当に動画流してお茶濁すのも「ちゃんと番組をつくる」という倫理に反してるだろう。

 そんなUFO動画も途中で尽きて「1泊2日のUFO旅(それも国内)」をしはじめて各地のビミョーなUFO写真など紹介し、それでも尺が余って、UFOと無関係な「芸人の家で夜中に何かの気配がある」とかいうのをカメラ仕掛けてずるずる流す、というのをやりはじめて(その時は画面左上の番組名テロップからUFOの文字が消えてた。気が咎めたのか)、結果もわからずいきなり終わった。もはやこれ番組の体をなしてないだろう。UFO番組についてははっきり「昔のほうが良かった」と断言する。でもこれはフジテレビで、UFO特番の本家は日テレなのでそっちを見ないと判断はまだ早い。日テレのUFO特番を待ちたい。

INFORMATION

『世界の何だコレ!?ミステリー』
フジテレビ系 水 19:00~
https://www.fujitv.co.jp/sekainonandakore/