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新大久保にネパール料理店、なぜ30軒も?「ネパール街」を生んだ男の思い

2020/12/11

「おかわり自由・500円ダルバート」の誕生

 熾烈な価格競争の象徴といえるのが、「500円ダルバート」だ。これはネパールの定食・ダルバートを相場よりもかなり安い500円で、なおかつネパール現地にならってライスとダルスープ(豆カレー)、店によっては肉カレーの具以外のソースも含めておかわり自由で提供するという破格メニューだ。

 ある1店が「お金のないネパール人学生にお腹いっぱいになってもらいたい」と目玉メニューにしたところ、界隈の他の店も追随し、結果的に大半の店が500円ダルバートを採り入れることになった。たださすがに500円は厳しいのか、最近は550円や600円で出す店も少なくない。

『モモ』の500円ダルバート。なんとライスとダルスープはおかわり自由。(筆者提供)

 ちなみに近年ネパール料理専門店は新大久保以外にも、大阪や名古屋、福岡など都市部を中心に、全国的に見られるようになっている。新大久保で成功した店が、他の街に支店を出すケースもよく見られる。またネパール料理専門ではないインネパ店においても、ネパール料理をメニューに採り入れたり、ナンカレーと並行してダルバートを提供する所が増えている。

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 昨今はコロナ禍により、飲食店になかなか自由には行きづらくなっている。むしろそんな時だからこそ、しっかりと安全面のケアをしながら、その現地色あふれるネパールメニューを堪能しに行きたいところだ。せっかくおこったその“火”を絶やさないためにも。

新大久保にネパール料理店、なぜ30軒も?「ネパール街」を生んだ男の思い

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