官僚は待たせてもいいと思われている
千正 一番ひどかったときは、ある議員から「21時に来い」と言われて事務所に行ったら、夜の会合からまだ帰ってきていなかった。そこから1時間待たされて、22時にようやく戻ってきたと思ったら、議員は法案の内容を全然理解していなかったんです。そんな状態だから、そもそも何を質問したらいいのかもわかっていない。そこから法案の中身やポイントを一つ一つ説明して、何を質問するべきか一緒に考えることになったんです。
――なるほど……。
千正 結局、質問はこれでいこう、というのが固まって解放されたのが夜中の24時です。そこから丸ノ内線の終電で国会議事堂前から霞ケ関に戻って、その質問に対する答弁を作り始めました。やっぱり元請けと下請けの関係じゃないけれど、官僚は待たせてもいいと思われているんです。ただ、そういう議員は減ってきている印象があります。むしろ、この問題をなんとかしなきゃいけないと思ってくれている人が、若い国会議員の中では増えています。
河野太郎行革相に何を期待する?
――河野太郎行政改革相も、官僚の働き方について積極的に発信をしていますね。
千正 就任会見で河野さんは「霞が関の『ブラック』な状況をなんとか『ホワイト化』することを優先順位高くやっていかなければならない」と発言しました。河野さんの影響力もあって、この問題の認知度は上がってきていると思います。すでに河野さんになってから霞が関の無駄なルールが廃止されたりもしています。
だから若い人たちには、いきなり明日から全部ホワイトになるようなことはないけれど、この状態はずっと続くわけではなくて、これから改善していくんだということを伝えなきゃいけないと思っています。じゃないと、どんどん辞めていっちゃうので。今より来年のほうがもっと良くなる、2年後、3年後にはさらに良くなって、無駄な仕事をする必要はなくなる――そういう希望を持たせないといけないだろうなと。
今は、河野さんが次にどんな発言をするかに注目しています。官僚の本当の残業時間というのは公表されていないので、その実態を明らかにするために今、河野さんの指示で在庁時間の調査がおこなわれています。その数字がいずれ公表されるはずです。そこで、もの凄い残業時間が明らかになった場合、それを解決するために何を改革していくのか、という話になるでしょう。ここは注目すべきタイミングだと思います。