――キングオブコント優勝後の活動を、2人はどう考えていたのでしょうか?
岩崎 賞レースで優勝して、「じゃあ次は芸能界、テレビだね」となったんですけど、その芸能界っていうところが…なんか違ったんですよね。
でも、なんていうか、「やっぱりな」っていう気もしたんです。そもそもトークが苦手なので、「当然なのかなぁ」と。結局、コミュニケーションじゃないですか、トークって。僕はそれが苦手で芸人になったのに(笑)。
槙尾 僕はどっちかっていうと、う大さんに付いていくしかないって感じだったから。僕としては、もちろんもっとテレビに出たいという思いはありましたけど。
「素を見せる」ことが評価されるいまのテレビ
岩崎 視聴者にとってのテレビって、画面に映る芸人の姿が「素」ということじゃないですか。他の芸人さんたちは「素」を見せているようで、本当はキャラクターを作っているのかもしれない。でも僕は、自分の「素」っていうものがよく分かっていなかったし、もっと言えば「素」のキャラクターで何かをやるっていうのがすごく嫌なんですよ。たとえ自分の素を出して、トークが上手にできたとしても、なんかその自分が照れ臭いというか。それが、演劇やコントの役としてだったらいいんですけどね…。
槙尾 昔は、芸人ってミステリアスなほうがいいとか、自分の素はいっさい出すな、とかいう風潮がありましたよね。でも、今のテレビの主流はどっちかっていうと、いかに「素」を出せるかになっている。特にひな壇形式のトーク番組では、素のキャラクターが面白い人や自分をさらけ出せる人が生き残っていくんだと思います。
岩崎 それに、テレビってひとつひとつの応酬がめちゃくちゃ早いですよね。即興すぎるというか…。言ったらずっとアドリブってことじゃないですか。僕はネタを考えるにしてもじっくり考えるのが好きだから、やっぱり芸人としてコントとは違う脳みそも使いますし、向き不向きはあるんだと思います。
槙尾 海水魚か淡水漁か、みたいな違いはあるよね。同じ魚でも生きられる場所が違うというか。