文政権、3つの疑惑
現在、文政権に燻っている主な疑惑は3つある。2018年の蔚山市長選挙への青瓦台介入疑惑や、多大な損失が出た2つのファンドに青瓦台や政府機関の一部が関与していたという疑惑。そして、尹検事総長が30日、職務復帰後、すぐに捜査の速度を上げるよう指示した、原子力発電所「月城一号機」に関する文書破棄疑惑事件がある。
文政権は政権発足から「原発ゼロ」を掲げていて、2019年12月には、「月城1号機」(1983年から稼働)を閉鎖させることが最終決定された。その根拠のひとつとなったのが、利用率の低さなどからの「経済性の低さ」だったが、故意的に低く見積もられ、関連文書が破棄された疑惑が浮上し、最近、検察の捜査が入っていた。文書を破棄したとされる産業通商資源省の公務員3人は取り調べを受け、2人が逮捕されている。
現在、捜査の焦点は、文書破棄はあったのか、あったとすれば誰の指示によるものだったのかだ。
取り調べを受けたひとりは、「月城1号機はあと2年6カ月は稼働させる必要がある」と書いた報告書を当時の産業通商資源相に提出した際、「お前は死にたいのか?」といわれたと供述しており、また、文書を破棄したとされるひとりは、「(指示はなかった)私に神が降臨した(それで破棄することになった)」と話したと伝えられ、さらなる波紋を呼んでいる。
いずれにしても文政権は負け戦
文政権は12月4日、雰囲気刷新の狙いもあったのか、大臣クラスの人事を行った。不動産政策で批判があつまっていた国交相などが交代となったが、秋法相は続投となり、「10日の検事懲戒委員会で尹検事総長の懲戒の可能性が高くなった」と囁かれる。
では、文大統領が懲戒、解任の裁可をすれば、尹検事総長は解任されるのか。前出記者が続ける。
「そうなっても、尹検事総長は行政裁判所にこの結果を不服とした仮処分申請をだすでしょう。そこで、もし、行政裁判所が尹検事総長の訴えを認容すれば、文大統領の求心力は低下するどころの話ではなくなる。また、もし、懲戒委員会が処分なしという結論を出せば、今までの騒動はなんだったのかと世論の反発は必至で、いずれにしても文政権にとっては負け戦です。
このまま支持率を落とし、来春のソウル市、釜山市長選挙で負ければ、『今後20年は進歩政権』と豪語していた次の大統領選挙も与党にとっては危うい」