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西城秀樹と故郷・広島の物語……50年以上大切に保管していた“学生帽”に込められた思い

西城秀樹と故郷・広島の物語……50年以上大切に保管していた“学生帽”に込められた思い

2020/12/11
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デビューからの快進撃と凱旋コンサート

 西城秀樹のデビューは、1972年3月25日発売のシングル『恋する季節』。オリコン42位で、決して華々しいデビューとはいえなかった。しかし、西城秀樹の歌唱力、容姿の良さ、生来の華やかさは、業界でも注目されたようだ。2枚目のシングル『恋の約束』はオリコン18位になり、人気と知名度が上がってくる。そして11月25日発売3枚目のシングル『チャンスは一度』のヒットで、『夜のヒットスタジオ』にも初登場。郷ひろみ、野口五郎とともに新御三家と呼ばれ、アイドルスターへの道を突き進む。1973年5月25日発売『情熱の嵐』の新曲発表ではヘリコプターに乗って登場するというド派手なアクション、「♪君が望むなら ヒデキ!」という客席とのコールアンドレスポンスなどが話題になった。そして同年9月5日発売の『ちぎれた愛』が新御三家で初めてとなるオリコン1位を獲得して以降、快進撃を続けることになる。

 客席とのコールアンドレスポンス、スタンドマイクアクション、スタジアムコンサート、武道館での単独リサイタルなど、今でも受け継がれているステージパフォーマンスや演出も西城秀樹が初めて取り入れたものだ。

 そして、1974年10月、ついに故郷広島の広島郵便貯金ホールで初のリサイタルを開く。たった一人、夜行列車で旅立ってから、4年が経っていた。空港に降り立った秀樹を父と兄が迎えに来てくれたという。このときは、西城秀樹が故郷広島で初のリサイタルを開くということで、東京から20名近くもの記者とカメラマンが同行したというほど、大スターになっていた。秀樹の故郷でのリサイタルにかける思いもひときわ強く、衣装合わせからリハーサルまでいつも以上に綿密に行われたという。

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 会場には、両親や兄姉のほか、友人、知人、そしてたくさんの地元のファンが詰めかけ、オープニング曲『泣かないで』からの盛り上がりは伝説として語り継がれている。

 15歳で単身広島を飛び出し、19歳にして単独リサイタルを故郷で開くという、ミュージシャンとして大成功を収めた西城秀樹。古い言葉だが、まさに故郷に錦を飾ったことになる。

 

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