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殺陣を教わるのは「いつか海外で仕事をする時のための準備」

 劇中の五代も「(海外の知識を)俺に学ばせろ」と叫び、上海に渡って蒸気船を購入したのを機に海外へと飛び出し、改めて日本という国に向き合っていく。三浦さんも〈役作りのためにアメリカのニューヨークへ行ったり、イギリスに2か月間短期留学したりと、海外での生活もいい経験になりました。舞台俳優としてミュージカルをやっていきたいと改めて強く思って、それを実現するための計画も考えています。〉(『家の光』2019年2月号)と、率先して夢を叶えようと動いていた。

 また、〈(殺陣を教わるのは)いつか海外で仕事をすることになった時のための準備です。日本人として刀についてや着物の着方、また、それぞれの所作や作法に関してどんな意味合いがあるのか聞かれることがきっとあるはずなので、その時のためにしっかり知識を入れておきたいと思いました。〉(『日本製』)と、日本人の俳優であることも強く意識していたのだ。

 

「ベストを尽くすことが出来たと胸を張って言える作品」

『天外者』は五代友厚の伝記でもあるが、夢を持つことの尊さ、それが生み出す力の大きさを訴えた作品でもある。30代を迎えるにあたって、役者として、人として、さらなる成長を遂げようとし、ブロードウェイの舞台に立つという未来像を具体的に描こうとしていたなかで、この作品に出会えたことは三浦さんにとって非常に嬉しかったはずだし、五代友厚が抱いていた信条と作品のテーマに深く共鳴するとともに心の底から満足していたはずだ。

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〈五代さんを演じた期間はとても充実していたし、三浦春馬という俳優としても、ひとりの男性としてもベストを尽くすことが出来たと胸を張って言える作品になりました。〉(『日本製』)

 

 この言葉に偽りは絶対にないだろう。

 そんな作品を目にすることができて嬉しいが、やはり三浦春馬という俳優としての“その先”も見せてほしかった。