姜氏は他の議員2人と、日露が領有権を争う北方領土の国後島を、ロシアのビザを受けて訪問したのだ。その際、「北方領土はロシア領土」と報道陣に述べたとされる。当時、姜氏は韓日議連の有力メンバーで、日韓領土問題の専門家という売りだった。韓国政府は、日露の対立には「不介入」の立場であったが、姜氏らの行動を黙認していた。
この訪問の意図は明らかだった。日韓が領有権を主張する島根県の竹島(韓国名・独島)の支配強化のために、北方領土を実効支配するロシアの状況を視察しようというわけだ。当然ながら、日本政府から強く反発される事態となった。
慰安婦問題についての発言でも話題に
ふたたび姜氏の言動が注目されたのは、昨年2月。当時、国会議長だった文喜相(ムン・ヒサン)氏が、天皇陛下に慰安婦らへの謝罪を要求する発言をしたときのことだ。
この際、姜氏は日本メディアのインタビューに応じて、「天皇に元慰安婦を慰問してほしいという趣旨だった」と説明した(その後、「文議長の考えを説明しただけ」と釈明)。また、慰安婦問題に対し安倍首相(当時)が「誠意ある謝罪をしっかりしていない。真の謝罪ではない」と主張した。
慰安婦問題については、ほかにも釈然としない言動があった。
今年5月に元慰安婦支援団体の「正義記憶連帯(正義連)」と、前理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員に寄付金の流用と横領、背任、詐欺などの疑惑が浮上した際には、「(正義連と尹氏に対する)不当な攻勢を止めろ」という声明を連名で発表。「正義連の30年間の努力を尊重、高く評価する。日本軍性奴隷(慰安婦)問題解決に力を尽くしてきた団体、個人を冒涜してはいけない」とまで主張していた。
ところが、韓国国内で尹氏らを批判する世論が高まると、「国民に釈明し謝罪せよ」と発言を一転させた。
“日和見主義”という批判も
このように置かれた立場や状況で言動をコロコロと変えたため、姜氏については、先述の通り、韓国国内でも“二枚舌”“日和見主義”という批判が絶えない。
「立ち回りがある意味巧妙で、かつ政治的なため、韓国では『学者なのか、政治家なのか、単なる俗物なのか』との冷めた見方もあります」(前出・韓国の対日関係専門家)