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実に我が国伝統の大本営な雰囲気が致します

 日本人として手出しはできないアメリカ大統領選挙や中東情勢はともかく、我が国の国内事情として、東京オリンピック、国政選挙に大阪万博へと繋がる予定表の中で、国民の経済や生活にダイレクトに影響のある新型コロナウイルス対策が忖度なく猛威を振るっている年末というのは大変です。

 Go Toが日本の経済を底支えしていたのかどうかは議論が分かれるところでしょうが、それでも12月28日から1月11日という年末年始にかけてGo Toやめるという話は「あれ? 感染が増えているのは『いま』なんじゃないの」と思うわけですよ。医療崩壊だ危機的状況だと叫ばれていて、対策は待ったなしのはずなのに、政府の政策の都合でコロナさんを年末まで待たせる感じになっていて、実に我が国伝統の大本営な雰囲気が致します。そりゃ支持率も下がるのも仕方がないよなあと。

総理大臣官邸 ©iStock.com

Go Toで感染が拡大したのは科学的な事実なのに……

 そうかと思えば、全国一斉のGo To中止が良いのかどうかという話まで出てきてしまいました。Go ToトラベルやGo Toイートがコロナ感染拡大の原因のひとつになったことは遺伝子追跡でも確認され、科学的には事実であるのは明白だけれども、政府からすると「Go Toにしがみついたので、北海道や東京大阪愛知福岡沖縄で感染拡大させてしまいましたサーセン」とは言えないので、政治的に「Go Toは感染拡大の原因ではない」「Go Toは正しい、必要だ」と強弁せざるを得なくなった。こうなると、科学側も医療側もキツいわけですよ。

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 結局は、ワイドショーが垂れ流す無責任な話に国民が動揺して、世論が右に左に流れているのを見て、支持率を気にしているガースー官邸が腰砕けになってしまいました。科学的に正しい政策を政治が責任もって実現する、というあるべき議論が、有権者の「お気持ち」を尊重せざるを得なくなったのです。芸能人や専門外の人がワイドショーに出てコロナ対策についてコメントをしているのを有権者が毎朝見ていれば、そりゃあ政府も専門家も医療者も落ち着いてコロナ対策などしづらいし、批判する側も言いっぱなしで対案など出てくるはずもないのです。