毎回苦しいんです―――文春最新号の「今週のことば」で紹介される、木村多江の言葉である。幸薄い役の多い木村が、それを演じることについてこう述べる。
「恥を晒して生きていくことが償いにも、責任を負うことにもなるのではないか」などと過去を背負い、神妙にふるまい、凌ぎきったかに思えたところで多江、いや耐え切れなくなって、地が出てしまったのが豊田真由子の記者会見だ。
結婚式場での謝罪会見に、マッチ・明菜の金屏風会見を思い出してしまう
「この、ハゲーーーーーっ!」の豊田真由子が記者会見をひらき、謝罪しつつ、次の衆院選に立候補の意志を表明した。その模様がモノクログラビア欄「CATCH UP」で紹介されている。
ことの発端は週刊新潮6月29日号。豊田から暴行・暴言をうけたという元秘書の告発を記事にするとともに、ICレコーダーで録音された豊田の絶叫罵声を公開する。その後、豊田は入院し、公に姿を現すことはなかった。
それが今月に入って動き出す。8 日発売の月刊文藝春秋に登場したのを皮切りに、17日にはCX系「Mr.サンデー」にVTR出演、そして翌18日、記者会見を開いたのだった。
そこに黒のスーツで現れたトヨマユ先生は、《件の音声データとは全然違うソフトな語り口で応答、神妙に深いお辞儀を何度も繰り返》す。そんな殊勝な態度も、週刊新潮の女性記者が質問しはじめるや、宿敵の登場に我を忘れたのか、ヒートアップするのであった。
秀逸なのは会見場だ。《豊田センセイが会見の場に選んだのは「ベルセゾン」という名の結婚式場だった。「美しい季節」という意味のフランス語だ》。結婚式場と釈明会見のミスマッチに、なんだか、マッチ・明菜の金屏風会見なんかを思い出してしまうところだが、トヨマユ先生は、復活へのハレの場のつもりで“美しい季節”を選んだのかもしれない。実際は「強姦」「通り魔」といった言葉が飛び交う修羅場となってしまうけれども。
記者会見は、何度か司会者が終わりを告げるのだが、そのたびに大丈夫とのことで続く。そして最後の最後に修羅場が待っていた。