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東京とNYでは大違い…? コロナワクチンの“本当の効果”をシミュレーションしてみた

2020/12/26

 新型コロナワクチンの本格的な接種が英米で始まりました。日本でも12月18日に、英米で使われているファイザー&ビオンテックのワクチンの承認申請が出され、試験や審査を経て来年春ごろには接種が始まる見込みです。コロナ禍を終息させるために、国内でも一刻も早くワクチン接種がスタートすることを望む人も多いのではないでしょうか。

 ただ、医師やワクチン、ウイルスの専門家の意見を見ると、国内で接種を進めるにあたっては、英米での接種のデータが出て来るのを待って、慎重に判断すべきという意見が少なくないようです。長期的な安全性や有効性が不明というのが一番の理由ですが、もう一つは欧米諸国と日本では、ワクチンを必要とする切迫度が違うこともあります。

ワクチンの効果をシミュレーションしてみた

 よく知られている通り、日本を含む東アジア諸国と欧米諸国では、人口あたりの感染率(陽性者率)や死亡率が数10倍から100倍も違っています。欧米諸国のほうがよりワクチンの必要性が高いことは直感的に理解できますが、その切迫度が日本とどれくらい異なるのか、単純な数字で示したほうが、よりわかりやすいのではないでしょうか。

 そこで、1年間ワクチン接種を行った場合、どのような結果になるのか、日米を代表する大都市である米国のニューヨーク市(2019年人口約834万人)と東京都(同約1394万人)の12月21日時点での累計感染者数、累計死亡者数のデータを使って、比較してみました。前提条件として、ワクチンの有効率をファイザー&ビオンテックの中間報告で公表された95%とし、接種率が1年間で人口の50%に達すると仮定しました。

©AFLO

 なお、このシミュレーションは極めて単純なものです。実際には接種率の上昇にともなう感染者数・死亡者数の時系列での変化や、接種率の上昇にともなって生じる可能性のある集団免疫の効果、人口の年齢構成の違いなども考慮した、複雑な要素を計算に組み入れたシミュレーションが必要でしょう。本格的な推計がAIの専門家などの手で行われることを期待しますが、この記事のシミュレーションは状況を大まかに捉えるための大雑把なものであることをご理解のうえ、ワクチンを評価する議論のたたき台としてお読みいただければ幸いです。

人口の半分が打てば18万人が感染を免れる

 まずはニューヨーク市のシミュレーションを見てみましょう。これまでに39万人近くが陽性となっています(疑い例も含む)。来年も、同じ数の陽性者が出ると想定して、人口の半数がワクチンを接種したとすると、有効率95%として陽性者が20万人強にまで減ります。つまり1年間で18万人強の人が、ワクチンのおかげで感染を免れる(陽性にならずに済む)計算です。

※表内の数値は小数点以下を四捨五入して表記しています。

 死亡者も人口の半数がワクチンを打てば、約2万5000人から約1万3000人に減ることになります。ワクチンのおかげで1万2000人近くが新型コロナによる死から救われるわけですから、社会的に見ても非常に大きな恩恵を得られると言っていいでしょう。