(2)チェックイン/アウトの時間はずれても大丈夫?
チェックインとチェックアウトの時間をどれだけ厳守すべきなのか、というのも、旅館に泊まる際には意外と迷うところかもしれない。
まず旅館のチェックイン時刻まで、まだ時間がある場合に必ず思い浮かぶのが「早く宿に入れないかな?」ということ。10分前なら大丈夫そうだけど、30分前だと微妙かな……などと思ったことがある人もいるのではないだろうか。
旅館からすると、これはどうなのだろう? まずは長坂さんに訊いてみた。
「うちはチェックインは14時からです。でもJRと宿泊セットの旅行商品を利用されるお客様は、最寄り駅に早めに到着する列車でいらっしゃいますので、ご希望があれば早くお迎えに行きます。お車の方も早いですね。特にコロナ禍では、外で観光するよりも旅館の中でゆっくり過ごしたいと仰るお客様が増えたので、早く入られる方も多いです。
チェックインに関しては、掃除が済んでいましたらお部屋にご案内しています。ただし13時より早くご到着されたお客様はロビーでお待ちいただいております」
これが一般的な対応だろう。したがって、「ご連絡なしに2時間前や3時間前に到着されるのは困りますね……」(中国地方の女将)というのが多くの旅館の本音だ。
早すぎるチェックインと言えば、以前に新潟の宿の女将から「フジロックのお客さんで、深夜0時にチェックインされた方がいました。フジロック中はチェックインを昼の12時にしていましたが、まさか12時間前に来られるとは!」と聞いたことがある。女将は笑っていたが、その客は天然なのか、故意なのか……いずれにせよ、12時間も間違ったのは限度を越えている。
「食事時間にズレ込むかどうか」がポイント
一方で、実は旅館により迷惑がかかるのは、チェックインが大幅に遅れる場合だ。
「お食事時間にズレこむような時間帯のご到着は、ご一報頂けると助かります。例えば、交通渋滞や事故により、チェックインが最終の食事スタート時間を過ぎてしまう際には、1階の居酒屋のようなところで簡易会席をお召し上がりいただくようにしています」とは永山さん。
チェックアウトも大幅に時間が遅れる場合は、通常は延長料金が取られることも覚えておきたい。
「うちはチェックアウトが11時でチェックインが14時ですので、お掃除できる時間が限られているんです。働き方改革からシフト管理も大変になりました。昔はお客様を最寄り駅までいつでも送っていましたが、このようにベッタリというご接待はしにくくなりました。また、そういうことを求めるお客様も減りましたね」(長坂さん)
チェックイン・アウトの時間がズレると旅館側は食事と掃除の両面で対応しなければならない。さらに近年は人手不足が恒常化しているため、オペレーションがひときわ大変になることを、客としても認識しておきたい。