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(3)忘れ物をしたら、宿から連絡してもらえる?

 旅から戻って気づくのが忘れ物。そこで女将に記憶に残っている忘れ物を聞いてみると、エピソードが次から次へと出てくる。

 よくある忘れ物として女将全員が口をそろえたのが入れ歯。次に下着。その次がマイ歯ブラシや小分けの化粧品、傘やスマホの充電器と続く。

 こうしたよくある忘れ物以外にも、大切な思い出までも忘れてしまうことがあるようで……。

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「『主人との思い出の宿です』と奥様が位牌とともにお越しくださいました。陰膳も出させて頂き、こちらまでもらい泣きしたのに、チェックアウト後、部屋にお位牌の忘れ物。これは送るわけにもいかないと、すぐにお電話をしましたら、『大丈夫、死んじゃっているから平気よ。宅急便で送って下さい』と(笑)」(長坂さん)

「血相を変えて連絡して下さったお客様のお探しものは、孫の作った俳句が載ってある『お~いお茶』のペットボトルでした。俳句募集キャンペーンがあったんでしょう。こちらはゴミと思って捨ててしまい、すぐにゴミ袋を開けて探しました(笑)」(東北地方の旅館オーナー)

「お客さまの食べかけのお菓子箱を捨てようとしていたら……ちょうどご連絡がありまして、そのお菓子箱にメモ書きした電話番号が必要とのことで……慌てた経緯がありました」(中国地方の女将)

だいたいの“忘れ物”は手元のバッグの中にある

 ちなみに「忘れました」と電話がかかってくる人の“忘れ物”は、たいていその人の手元のバッグの中にあるのだそうだ。

 それでは忘れ物をした場合、宿から連絡は来るものなのだろうか?

「お忘れ物の連絡は基本的にはいたしません。金目のものは金庫にて保管し、お客様からの連絡をお待ちするようにしています」(永山さん)

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「お忘れ物に気づいても連絡できないこともあります。例えば、複数の方が泊まられた場合、また大浴場やロビーのお忘れ物で、どなたの物かがわからない場合です。基本的に約款に沿ってある程度の期間は保管しますが、そのあとは処分します」(長坂さん)

 いずれにせよ、忘れ物をしたと気づいた時点で、急いで宿に確認をしたほうがいいようだ。