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コロナで外食費はどう変化した? 川崎市は半減、青森市は1.4倍増…各都市の“明暗”を分けたもの

2021/01/05

相模原市と前橋市では「飲酒」が2倍以上に

 ところで、コロナとの関連でクローズアップされているのは外食の中でも飲酒だ。飲酒に限定して比べてみると、2都市で2倍以上増加していた。神奈川県相模原市(248.7%)と群馬県前橋市(223.3%)である。

 相模原商工会議所は「全く実感が湧きません。新型コロナの流行後、イベント系の会社と酒を出す店の経営が特に厳しく、テイクアウトを始めた店もコストに合わないから、やめるところが増えています。なんとか持ちこたえているのは、ファンがいる店、そして家賃がかからない持ちビルなどの店です」と話す。

 電車で通勤する人が多い都市だけに、もしかすると市内ではなく、職場の近くで飲んだ人が多かったのかもしれない。

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©iStock.com

 飲酒については、1割台以下に減った都市もあった。福島市(8.5%)、大阪府堺市(12.9%)、静岡県浜松市(15.8%)、神奈川県横浜市(19.2%)だ。

 福島市の行政関係者は「県内には30万人規模の都市が福島、いわき、郡山と三つありますが、中でも福島市は公務員のまちなので、飲酒を控えている人が多いようです。10月は市内の飯坂温泉で開催される名物のけんか祭りが大幅縮小され、飲む機会が失われました。また、福島には東京の企業の工場がかなりあるのですが、ライン製造を止めないようにするため、飲み会に行こうものなら処分されかねない会社もあります。繁華街を潤していた震災復興関係の会社も従業員に飲みに行くのを禁止しているようです」と解説する。

「東京の人は自制していない」は本当?

 ちなみに、東京23区も飲酒は54.1%とほぼ半減した。外食費全体では103.2%と前年同月並みに戻っているが、飲酒だけ極端に低い。

 地方では「東京で感染拡大が著しいのは、自制せずに飲みに行っているからだ」という声をよく聞く。しかし実際には、東京でも多くの人々はコロナに気をつけながら暮らしており、その分、飲食店の経営が厳しくなっている。これを裏付ける数字であることには、言及しておきたい。

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 都市ごとの外食費の増減に、これほどの差があるのは、今後の経済対策でもそれぞれのまちに合ったやり方があるという証拠なのだろう。

 飲食業界は今、非常に厳しい現実に直面している。だが、このような時にも支出を伸ばしている都市はある。希望はなくはない。

コロナで外食費はどう変化した? 川崎市は半減、青森市は1.4倍増…各都市の“明暗”を分けたもの

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