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《シューズで見る箱根駅伝》ナイキ一強はどこまで続く? そしてついにアシックスが箱根路から消えた!

2021/01/05
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 これはナイキだけの話ではありません。

 昨年10区で区間記録を達成し、今年も4区で首位に踊り出た創価大学の嶋津雄大選手は昨年、区間賞を獲得した選手の中で唯一、ナイキではなくミズノの新シューズのプロトタイプを履いていたと注目を集めました。

 この快挙にミズノも「いける!」と手応えを感じたはずです。「本気の反撃」と題して、そのプロトタイプをアップデートしたウエーブデュエルNEOを販売し、大々的なプロモーションも行った。おかげでランナーへの認知度も上がりました。

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最新モデルを履かない選手たちも活躍

 ところが、今年、嶋津選手の足元を見ると、最新型の赤のウエーブデュエルNEO SPではなく、去年と同じ白いモデルを履いている。拓殖大10区の工藤翼選手も同じく白。帝京大3区の遠藤大地選手に至っては、ウエーブクルーズのカスタムモデルを履いていました。

創価大・嶋津選手の足元は今年もミズノのプロトタイプ ©AFLO

 東京国際大の7区で区間賞を獲得した佐伯涼選手が履いていたのは、ニューバランスのフューエルセル5280。これは箱根のような長い距離を走るための靴ではなく、女子の1500m・3000mの日本記録を持つ田中希実選手が履いていたシューズ。もともとは中距離走者が1マイル(1.6km)をスパイクのような感覚で走るために開発されたシューズです。

女子の田中希実選手はニューバランスを愛用 ©榎本麻美/文藝春秋

今の選手はシンプルな白が好き 

 もはやメーカーが提案する距離や、履き方の設定は関係ない。「新しいものがいいものだ」という昭和から平成の価値観も変わってきているのかもしれません。

 ちなみにミズノのウエーブデュエルNEOのプロトタイプも、ニューバランスのフューエルセル5280も、真っ白でシンプルなデザイン。メーカーはいろいろな色でデコって特徴を出そうとしがちですが、今どきのランナーは、むしろシンプルさを追求した方が好まれるのではないでしょうか。