最大の変化は「どの靴がどんな風にいいのか」という情報が選手に行き渡ったということです。
シューズ占有率はナイキ一強で変わりませんが、「この区間はヴェイパー、この走りならアルファフライ」のようにランナーの好みや適性で同じナイキでも履くシューズを変えるようになってきた。「どのメーカーを選ぶか」という時代は終わり、「ナイキの靴をどう使い分けるか」というフェーズに入ってきたと言えるでしょう。
「最新型=良いもの」という考え方が変わりつつある
さて、普通なら最新型の方がいいのでは? と考えますが、そうはなりません。
今年の箱根駅伝では、特に5区の山上りではアルファフライでなく、ネクスト%を選んだ選手が多かった。
厚底か薄底かという表層的な違いではなく、自分がどの区間をどんな風に走るのかを考えて、自分に合うシューズを選ぶようになったのでしょう。
同じヴェイパーでも、カラーリングがバラバラだったのも印象的でした。これまでならメーカー側が「今年はこの色だ!」と一色に染め上げていたけれど、昔のカラーを履いていたり、山梨学院大で10区を走った渡邊晶紀選手は、オーダーメイドでシューズのカラーリングを変えられるナイキiDというシステムを使って、大学のカラーであるプルシアンブルーのヴェイパーフライをオーダーしていた。これは箱根駅伝に限った話ではありません。
箱根駅伝復路10区走ります!
— 渡邊晶紀 (@akky4416) January 2, 2021
プルシアンブルーの襷を繋げる喜びを噛み締めて走れないチームメイトの分まで頑張ります!
応援よろしくお願いします! pic.twitter.com/xGe11WFz4h
現在、SGホールディングスに在籍する、元青山学院大の鈴木塁人選手は「アルファフライは浮きすぎる」とネクスト%を履いていますし、クイーンズ駅伝ではヤマダ電機の筒井咲帆選手が、本来はジョグ用に使うアルファフライの汎用モデルであるナイキ ズームテンポで出走していました。
選手たちは盲目的にナイキを履くのではなく、自分の走りにあったカーボンプレートシューズを選ぶというフェーズに入ってきたといえるでしょう。