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 最大の変化は「どの靴がどんな風にいいのか」という情報が選手に行き渡ったということです。

 シューズ占有率はナイキ一強で変わりませんが、「この区間はヴェイパー、この走りならアルファフライ」のようにランナーの好みや適性で同じナイキでも履くシューズを変えるようになってきた。「どのメーカーを選ぶか」という時代は終わり、「ナイキの靴をどう使い分けるか」というフェーズに入ってきたと言えるでしょう。

「最新型=良いもの」という考え方が変わりつつある

 さて、普通なら最新型の方がいいのでは? と考えますが、そうはなりません。

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 今年の箱根駅伝では、特に5区の山上りではアルファフライでなく、ネクスト%を選んだ選手が多かった。

6区を走る青学大と城西大の選手。最新モデルではないナイキのネクスト%を履いている ©AFLO

 厚底か薄底かという表層的な違いではなく、自分がどの区間をどんな風に走るのかを考えて、自分に合うシューズを選ぶようになったのでしょう。

 同じヴェイパーでも、カラーリングがバラバラだったのも印象的でした。これまでならメーカー側が「今年はこの色だ!」と一色に染め上げていたけれど、昔のカラーを履いていたり、山梨学院大で10区を走った渡邊晶紀選手は、オーダーメイドでシューズのカラーリングを変えられるナイキiDというシステムを使って、大学のカラーであるプルシアンブルーのヴェイパーフライをオーダーしていた。これは箱根駅伝に限った話ではありません。

 

 現在、SGホールディングスに在籍する、元青山学院大の鈴木塁人選手は「アルファフライは浮きすぎる」とネクスト%を履いていますし、クイーンズ駅伝ではヤマダ電機の筒井咲帆選手が、本来はジョグ用に使うアルファフライの汎用モデルであるナイキ ズームテンポで出走していました。

 選手たちは盲目的にナイキを履くのではなく、自分の走りにあったカーボンプレートシューズを選ぶというフェーズに入ってきたといえるでしょう。