超高速レースになるかと思われていた第97回箱根駅伝も、終わってみれば優勝した駒澤大学の総合タイムは10時間56分4秒。

 昨年、青山学院大学が優勝した時のタイムが10時間45分23秒であったから10分以上もの差ができた格好だ。また、7つもの区間新記録が誕生した昨年に比べて、今年は東京国際大学のイェゴン・ヴィンセントが打ち立てた1つのみ。 

 ナイキの厚底シューズの影響もあり、年々レースが高速化していたが、今季の箱根では選手の足元にどんな変化があったのだろう。 

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 様々な大会で選手の足元をチェックしている駅伝マニア集団「EKIDEN News」(@EKIDEN_News)の西本武司氏が、箱根駅伝から最新シューズ事情を読み解く。

1区を走るランナーたち。その足元はほとんどがナイキのシューズだ ©AFLO

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 今年はなんと出走したランナー全210人のうち201人、実に96%の選手がナイキを選ぶ事態になりました。その一方で、「ナイキのどのモデルを履くのか」という選択については、選手ごとに違った選択が見られました。

 大きく分けると「ヴェイパー派」と「アルファ派」に二分された。「ヴェイパー」とは、カーボンプレートが入った厚底シューズの三代目「ヴェイパーフライ ネクスト%」のこと。一方、アルファフライとはヴェイパーフライの上位モデルとなる四代目の最新型で、エリウド・キプチョゲが世界初のフルマラソン2時間切りを達成した靴でもあります。

 また、ナイキ以外のメーカーでは、数年前まで大きなシェアを誇っていたアシックスを履いた選手がついにゼロになるという「大事件」も起きました。

「ナイキ一強」はいつまで続く? 一方で変化も…

 日本のランニングシューズ界では新興ブランドの印象が強かったナイキですが、今では「信頼と実績のナイキ」というイメージへと変化しました。革新派だったナイキが保守派に、逆にミズノなどが挑戦する立場になってきている。ナイキが「自民党」になったことで、数年続いていた技術の進化は、ある程度臨界点に達したと言えるかもしれません。

 では大きな変化はないかというと、そんなことはありません。早速ですが、こちらが今年の各選手が履いていたシューズメーカー一覧です。

第97回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合1位〜10位 往路」(「EKIDEN News」調べ)
第97回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合1位〜10位 復路」(「EKIDEN News」調べ)
第97回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合11位〜21位 往路」(「EKIDEN News」調べ)
第97回箱根駅伝「選手別シューズ内訳 総合11位〜21位 復路」(「EKIDEN News」調べ)