『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』(長谷川和夫、猪熊律子 著)KADOKAWA

 著者の長谷川和夫氏は認知症診断の際に使われる認知機能検査「長谷川式スケール」の開発者であり、何千人もの患者を診てきた認知症の専門医。88歳のとき、自身が認知症であることを自覚し公表した。

《認知症になったからといって、突然、人が変わるわけではありません。昨日まで生きてきた続きの自分がそこにいます》《何かを決めるときに、ボクたち抜きに物事を決めないでほしい。ボクたちを置いてきぼりにしないでほしい》《認知症になったら「何もわからなくなる」と思っている人がいます。でも(略)そんなことはありません。心は生きています》。著者は症状が進行する自分を客観的に見つめ、何を思い、どう感じているか、当事者となって初めてわかったことを本書で静かに語っていく。

 さらに、その長谷川氏を取材してきた読売新聞編集委員である猪熊律子氏が情報を補足し、認知症の歴史や定義等、その基本がわかる一冊にもなっている。

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「長谷川氏のNHKスペシャル出演がヒットの追い風となりました。番組を見た読者からは、テレビではわからなかった著者の全体像が伝わり感動した、といった感想が多く届いています。家族、または自分が認知症を患ったとき、その現実にどう向き合えばよいのか。本書にはそのヒントが沢山詰まっています」(担当編集者の藤岡岳哉さん)

2019年12月発売。初版9000部。現在14刷9万5000部