鍵を閉め、常連だけを入れる店も
ある雑居ビルの小さな焼き鳥店は、20時を過ぎると看板の明かりが消え、扉の鍵も閉まる。しかし、常連のお客さんだけを入れる「会員制」としてひっそり営業していた。営業時間が記録されてしまうので、20時以降はクレジットカードでの会計は断っているという。
「発表されるコロナの人数が増えてからは、サラリーマンのお客さんはほとんどいなくなって、今は歌舞伎町で仕事をしている人がほとんど。『歌舞伎町は早い時期にコロナが蔓延したから、もう一周してみんな免疫あるんじゃないの?(笑)』って冗談半分で言ってる人も多いね。この街で働いてる奴は独り身も多いしストレスも多い仕事だから、酒飲んで愚痴を吐き出す場所がなかったら、体より先に心が壊れて病気になると思うけどね」(焼き鳥店店主)
1日6万円は「黙って潰れろ」と同じ?
飲食店だけでなく、より近い距離での接客が売りの業種も、営業を再開している店が目立つ。ネオンがギラギラと光る人気のガールズバーや、ドレス姿の女性がズラリと並ぶキャバクラ店も、営業再開の決断をした店が多い。
「このまま店を開けないと絶対に潰れてしまう。家賃だけでも100~200万円。女の子の時給が最低4千~5千円、黒服(男性スタッフ)の人件費に、光熱費、酒代におしぼり代……1日6万円じゃ『黙って潰れろ』って言ってるようなもんだよ。もしうちが開けなくても、他の店が営業してればお客は流れるし、働いてる女の子たちも稼ぐために他の店に移籍してしまう。自分のところだけ閉める、っていう選択はできない。今回は有名店も営業してるし、ボッタクリ店の連中すら営業してる。そうなると、尚更うちだけ閉めるわけにはいかない」(中堅キャバクラ店店長)