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信憑性がない弟の供述
弁護人 梅ぼしは?
被告人 嫌いです。
弁護人(被告人が)梅をとるように頼んだことはなかったのか?
被告人 ありませんでした。
弁護人 弟さんは、(その時)茂さんがあなたに梅をとるように頼まれたと証言していますが、そんなことはなかったのですか?
被告人 ホーメイヨウ!(中国語で、「ありません!」)
さらに弟が「自分が近くにいたことを詩織は知っていたはずだ」と兄から告げられたと警察に供述していることについても、07年6月の高裁に対する「控訴趣意書」で弁護側はこう反論している。
「これほど重要な内容が最初の検察主尋問で現れなかったのは不自然。ところが第6回公判で裁判官の補充質問で突如現れた供述。弟が捜査段階からそうした供述をしていれば主尋問で出てきているはず。途中から述べ始まったこと自体が信憑性がない。原判決では、この点何も言及してないが、この供述の信憑性に疑いがある以上、弟の供述全体の信用性もゆらいでいる」
この「故意による火傷」も含め、これまで何度か一審判決、弟の公判廷シーンで指摘されてきた、後のインスリン投与事件にもからむ極めて重要な弟の証言、「04年1月8日に、“またやられるかもしれない、あとは頼む”といわれた」にも弁護側はこう反論している。
「弟が日ごろから重要なことをメモしていた家計簿、日記、備忘録のノートにも、同日の記載された部分には『アジ(魚)あげる』などと書かれているのみ。だから弟が公判廷で茂から言われた言動が本当にあったかどうか極めて疑わしい」