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2021/01/21

インスリン投与に殺意は?

 次に糖尿病治療用のインスリン製剤を注射器で大量に投与し事故死にみせかけ殺害しようとした容疑について見てみよう。

 詩織が、手記や面会時に私に語ったところでは、インスリン投与の際、殺意はなく、あくまで「身体を弱らせるのが目的だった」と一貫している。しかし検察、一審判決は火傷同様、厳しい判断をみせている。

©iStock.com

 インスリンの致死性認識については「インスリンを被告人に分け与えた大川久美子には過剰投与により、低血糖状態に陥った場合、生命に対し危険性があることの認識があった」とし、その理由を、こう述べる。

「インスリンは、投与量次第で低血糖や意識を失う恐れがある危険性を持つ。だから医師からは投与量について厳格な指導がなされ、糖尿病患者は危険性について承知している。患者の家族もインスリンの取り扱い方や低血糖状態の危険性、対処法を周知されている。

 久美子は夫が糖尿病患者だったのでインスリン製剤は糖尿病患者でも必ず決められた量を守ること、必要以上に打てば低血糖で体がしびれたり震えたりし、そのままにしておけば意識がなくなるなど、使い方をまちがえると危険と知っていたとの捜査段階の供述がある」

「久美子には過剰なインスリンを打ち低血糖になり放っておくと意識がなくなるという認識があった。そのまま意識が戻らなくなって脳障害・死亡の可能性もあると認識していた」

 その上で「だから明確な殺害計画があった」と断定している。

中国人「毒婦」の告白

田村 建雄

文藝春秋

2011年4月20日 発売

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