現在NHK総合で放映中の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。多くの視聴者の心を掴んだのが、吉原屈指の花魁・瀬川(花の井)を演じる小芝風花の圧倒的な存在感だ。

小芝風花さん ©時事通信社

 瀬川は吉原の老舗「松葉屋」を代表する花魁で、横浜流星演じる主人公の“蔦重”こと蔦屋重三郎と深い絆を持つ幼馴染だ。互いにお互いを思い合いながらも、立場上結ばれることのない関係の切なさ。蔦重の前で見せる勝ち気な姿と、花魁としての艶っぽさのギャップ。そして花魁道中で見せる立ち姿の美しさ。“令和のコメディアンヌ”とも呼ばれ、明るい印象の強い小芝の見事な演技に「こんなに色気のある女優だったのか」と驚いた人も多かった。

 小芝は現在27歳。同年代の女優を見れば、広瀬すず、杉咲花、黒島結菜、上白石萌音、芳根京子などドラマ、映画の主役を張る錚々たる顔ぶれが並ぶ。その中で小芝は一線を画している。煌びやかなスター街道を歩むのではなく、地道に着実に作品への出演を続け、自らの地位をしっかり固めていった印象だ。

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フィギュアスケート選手から芸能界へ

 小芝の幼少期の夢はフィギュアスケート選手だった。トリノ冬季オリンピックで金メダルを獲得した荒川静香の演技に憧れ、小学2年でスケートを始める。毎日練習を重ね、時には1日7時間リンクにいたこともあったという。フィギュアスケートはレッスン料などお金がかかるスポーツで、節約のために衣装は全て母の手作りだったという。

2023年には「世界フィギュアスケート国別対抗戦」にゲスト出演した 本人インスタグラムより

 フィギュアでは、個人で「西日本ジュニア選手権」8位。中学2年生の時にペアで行うアイスダンス(ノービスダンス)で「第15回全日本フィギュアスケートノービス選手権大会」のノービスダンス部門優勝も果たしている。ただ、オリンピックを目指せる選手との力の差を感じ、いつしか小芝の夢はインストラクターになることへとシフトしていった。

 そんな時、またもフィギュアスケートの選手が小芝の運命を変える。浅田真央だ。

 中学2年生の頃、テレビのCMに出演する浅田の姿を見て「私もCMに出たい」と言ったところ、姉がそれを聞き、小芝にオーディション雑誌を買ってきてくれた。どうせ受からないと母にも伝えずに応募したのがイオンとオスカープロモーションがタッグを組んだ「ガールズオーディション2011~武井咲のお姉さん&妹キャラクター大募集~」だった。

 小芝はこのオーディションで、応募総数3万5390人の中から見事グランプリを獲得する。フィギュアスケートを続けるか、芸能界入りか。悩んだ末に、小芝は芸能界一本で頑張る決断をする。こうして“美の総合商社”と言われたオスカーに14歳で入所する。