高1で大役をやっとつかむも、バッシングを受け…
オスカーといえば「国民的美少女コンテスト」が看板で、ここで発掘した人材を売り出すことを至上命題としていた。実際に歴代の所属スターを見ても、上戸彩、米倉涼子、忽那汐里、武井咲、剛力彩芽、高橋ひかるとみな「国民的美少女」出身だ。その中で、「国民的美少女」出身でなく、後に事務所の顔となった小芝は異色の存在といえる。
小芝はオスカー入所を機に、母と姉とともに上京。2012年にドラマ『息もできない夏』で武井の妹役として出演するも、その後は順調にはいかなかった。
「私の場合、いわゆる“強運の持ち主”とは少し違います。15歳で女優デビューしてから現在に至るまで、決して順風満帆な道のりではありませんでした。同年代の女優さんたちがどんどん活躍していくのを横目で見ながら、『なぜ私はああいう役をやらせてもらえないんだろう?』と、悔しい思いばかりしてきましたから」(「婦人公論」2021年1月26日から)
2014年、そんな小芝にチャンスが訪れる。オーディションに合格し、実写映画『魔女の宅急便』で主人公キキ役をつかんだのだ。
『魔女の宅急便』といえば、スタジオジブリでアニメ化された作品だ。アニメ版のファンも多い。もともと漫画やアニメの実写化にはファンの抵抗があるものだが、まして国民誰もが知るジブリの名作アニメということで、反発も大きかった。
当時高校1年生だった小芝のブログにも一部の心ないファンからキャスティングに対する批判のコメントが書き込まれ、小芝も自身のブログで「悲しい気持ちになる事を書かれたりもしています」と明かしている。残念ながら映画『魔女の宅急便』はヒット作とはならなかったが、小芝自身はこの映画の主演でブルーリボン賞・新人賞を獲得している。
転機はいつもNHKだった
そして翌2015年には、小芝に転機となる仕事がやってくる。朝の連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)への出演だ。
もともと小芝はこのドラマの主演のオーディションを受けていたが、高校生で年齢が足りず最終選考で落選。代わりに波瑠演じるヒロインあさの一人娘・千代役を演じることになった。千代として14歳から34歳までを演じ、女優としても大きな成長につながった。この作品で知り合ったプロデューサーなどから仕事をもらう機会も増えていったという。
「目の前のお仕事にはいつも全力で取り組んできたつもりです。負けず嫌いな性格なので、たとえオーディションに落ちても、『私を選ばなかったことを絶対に後悔させてやる!』と自分を奮い立たせたり(笑)。
また、ご一緒させていただいた共演者の方や監督さんたちに、『この子と仕事をして楽しかった。もう一度、一緒に作品を作りたい』と思ってもらえるように、どんなに小さな役でもベストを尽くし、私の存在を少しでも覚えてもらえるように心がけてきました」(「婦人公論」2021年1月26日から)
地道に地道に、けれど着実に。小芝は評価を上げていった。
小芝に再び転機を与えたのもNHKだった。2019年に『トクサツガガガ』で小芝は連続ドラマ初主演を果たす。
もともと優等生的なイメージもあった小芝だが、この作品では普段は女子力の高いOLだが実は隠れ特撮オタクという主人公を表情豊かに見事に演じきった。この作品でコメディアンヌとしての才能を発揮すると、2020年『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ)、そして民放の連続ドラマ初主演の『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日)と、その魅力を見事に発揮。“令和のコメディアンヌ”の評価を磐石のものとした。