株式市場が活況を呈している。年明け間もない1月8日の日経平均株価は前日比648円90銭(2.4%)高の2万8139円03銭で引けた。実に30年5カ月ぶりという高値だ。

 上昇のピッチも早い。日経平均が終値で2万6000円台を回復したのは昨年11月17日。2万7000円台に乗せたのは1カ月半弱が経った12月29日だったが、それからわずか6営業日で2万8000円台を付けた。

 海の向こうも沸いている。ダウ工業株30種平均は11月24日に史上初めて3万ドルに乗せ、今年1月7日には3万1000ドルを突破した。

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1月14日の日経平均株価は引き続き2万8000円台を上回った©時事通信社

 そこでこんな人がいるかもしれない。

「コロナ禍で収入が減っている。在宅勤務をしているから、周りに気になる同僚の目もない。巷では日経平均3万円という声も聞かれるようになっていることだし、株でもやってみるか」

 しかしそう考えながらも、多くの人はこの株高に違和感を拭えないでいるはずだ。

今さら手を出すと大火傷をするのではないか

 12月に入って新型コロナウィルスの感染拡大が改めて懸念されるようになり、年明け7日には東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県を対象に、改めて緊急事態宣言が発出された。13日には大阪、兵庫、愛知など7府県に対象が拡大している。

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 感染拡大を防止するための措置と経済の回復はトレードオフの関係にある。人々の行動を制限する緊急事態宣言の発出は経済活動の停滞を招く。実際、昨年4月に緊急事態宣言が出たことで景気の悪化を実感する人は増えたはずだ。実際、多くの企業は今期の決算が大幅減益になる見通しである。

 ここにきて政府や地方自治体が改めて経済活動を抑制する措置を講じている。そもそも企業の実態とは異なる急ピッチの株価上昇は不気味ですらある。今さら手を出すと大火傷をするのではないかーー。