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「女性はマスクNG。胸の谷間にチップを挟んで…」コロナでバブル状態の秋葉原メイドカフェを現地取材《客も女性も殺到》

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ターゲットはオタクよりも……

 確かに、現在でも秋葉原の街を歩くと等間隔でメイド姿の女の子がビラを配っている。緊急事態宣言下でも、その数は減っていない。20時を超えて店舗の電気が消えても、ビラ配りが続いているということは営業も続いているということだ。

「秋葉原には通称“メイド通り”と呼ばれる通りがあって、昼から夜までいつ行っても15人ほどのコンカフェ・キャストが道端に立ち、通行人に『メイドカフェいかがですか?』とビラを配っています。実はいかにもオタクというお客さんより、若くてノリが良い大学生くらいの人が来店につながりやすく、メインターゲット。逆にオタク度が強そうなお客さんは、来店につなげるのが難しい。そのかわりに、リピートしてくれる率は高いのです」(同前)

 1店舗で月に1000万円近いという高水準の売り上げを、彼らはどうやって達成しているのか。

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「コンカフェと言っても“メイド”だけではなく、“忍者”や“病院”などテーマは様々。ただ、違うのは衣装や接客くらいで、システムはどの店もほとんど一緒。1時間3000円くらいの料金で飲み放題、別料金でフードや女の子の飲み物を頼むという店が多いです。利益が大きいのは、キャストの女の子たちにご馳走するシャンパンや、ツーショットチェキを撮影できるといったメニュー。価格設定はいろいろですが、5000円あればそれなりに遊べるので、キャバクラやガールズバーよりずっと安いのです」(同前)

1月8日、緊急事態宣言下の秋葉原 Ⓒ文藝春秋

「VIP席ではキャストの胸にチップ」

 多くのコンカフェは「飲食店」として業種登録しているので、同席してのサービスは基本的にない。しかし、「できるだけ近くで独り占めしたい」という客のニーズをくすぐる接客方式が取られている。秋葉原の人気コンカフェのキャスト・A子さんが巧妙な営業手法を明かす。

「テーブル席よりカウンター席の方がキャストと話しやすいので人気で、指名したキャストと1対1で話せる“VIP席”は真っ先に埋まります。うちの店のVIP席では、チェキやドリンクを注文する時に、キャストの胸の谷間にチップを挟めるんです。全くソーシャルディスタンスではないけど、コロナ禍でも大人気ですね。この前の3連休(1月9日~11日)も、VIPは常に満席でした。3日間続けて通って、VIP席で140万円を遣ったお客さんもいましたよ」

緊急事態宣言下、1月8日の秋葉原 Ⓒ文藝春秋

 客に黙って食事をさせる「黙食」を多くの飲食店がコロナ対策として取り入れている昨今、会話を楽しむためのコンカフェでは、かなり近い距離での接客が行われている。対策は万全とは言えない状況だ。

「アルバイト開始時に必ず消毒やうがいをして、営業中はフェイスシールドをしてますけど、対策はそれくらいですね。店内はどうしても“密”になるし、顔が見えないのでマスクもNG。そんな状況なので、キャストの中でも親から出勤を禁止される子も多くて、うちの店は30人のキャストの半分くらいがお休み中です。ただお客さんもコロナを気にしてる人はいなくて、むしろ近づこうとする人の方が多い(笑)。中には、25時の営業終わりにキャストの出待ちをするお客さんもいますよ」(同前)