新規出店を狙う会社も
秋葉原の盛況ぶりは「夜の街」業界ではすでに知れ渡っており、コロナ禍まっただ中の昨年9月には、群馬でキャバクラを展開していた会社が秋葉原にメイドカフェを新規オープンしている。他にも、新宿・歌舞伎町でホストクラブを展開するグループ会社や、銀座のクラブを運営していた会社も秋葉原進出を目論んでいるとも言われている。「そういった競合店舗が増えることで、なおさら店を閉められない状況を生んでいる」と話すのは、別のコンカフェを経営するオーナーだ。
「もちろん感染拡大を防ぐために時短営業にして協力金をもらうという考えもあるのでしょうが、それをしたって、キャストの女の子たちが他の店へ移籍してしまうだけなんですよ。お客さんは店でなくキャストについているので、店にとって移籍はダメージが大きい。だから休むわけにはいかないんです。
『働きたい』という女性の応募も増えていて、年が明けてからは1日平均5人以上から問い合わせがあります。リモートワークや時短勤務で収入が減った一般企業に勤める女の子が、『空いた時間で稼ぎたい』というケースがほとんどです」
「うちの店でキャストがコロナにかかっても報告せずに営業を続けるでしょうね」
この稼ぎ時を逃す手はないと考えているコンカフェのオーナーたちと、本業の減収を補いたいキャストの女性たち。利害が一致している彼らの言葉には、「コロナ対策など二の次」という本音が見え隠れする。
「正直に言えば、うちの店でキャストがコロナにかかっても報告せずに営業を続けるでしょうね……。本人が体調が悪い間はさすがに休んでもらいますが、店もキャストも『できるだけ早く復帰したい』という気持ちは同じ。クラスターが発生した店もあると聞きましたが、公表したという話は聞きません。店を閉めれば売り上げが落ちるし、女の子たちも去ってしまうので、仕方のない判断だと思います。今の秋葉原はコンカフェをオープンしたがる人が殺到する激戦区で、物件すら見つからない状況。いま稼がずにいつ稼ぐのか、という気分ですよ」(同前)
1月18日からようやく国会が始まったが、政府は新型コロナウイルス対策の特別措置法について、緊急事態宣言のもとで時短や休業の命令に応じない事業者には、50万円以下の過料を科すなどとする改正案をまとめた。だが、この改正案が施行されるまでに少なくともひと月はかかる。罰則規定には賛否両論飛び交うが、まず国会議員や評論家は“現実の秋葉原”を覆面視察すべきなのかも知れない。