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習近平は“敵”ではない…それでもバイデンは「香港・ウイグル問題」に踏み込めるのか?――文藝春秋特選記事

2021/01/22

「文藝春秋」1月号の特選記事を公開します。(初公開:2020年12月18日)

 中国で最初に流行した新型コロナウイルスが米国で感染拡大した結果、最終的に「票」を失うことになったトランプ大統領は、自分の仕掛けた貿易交渉に乗らない中国共産党を徹底的に敵視した。しかし、ジョー・バイデン次期大統領は、共産党政権を「敵」とみなさず、「協力できる競争相手」と位置づけるだろう。

 その融和的な中国認識はどうやって醸成されたのか。私は「文藝春秋」1月号および「文藝春秋digital」掲載の「バイデンを籠絡した『習近平親密企業』」で、共産党とバイデンの40年間余にわたる長くて深い歴史や、副大統領だったバイデンが習近平国家主席(当時は国家副主席)から直接紹介された中国企業との間で温めた癒着関係の経緯を詳細にレポートした。こちらを読んでいただければ分かるだろう。

習政権の対米戦略は「二分論」

 バイデンの外交チームは、国務長官に就任するブリンケン元国務副長官、国家安全保障担当の大統領補佐官サリバンが中核となる。米メディアなどで伝えられるバイデンチームの対中政策は、協力できる分野は協力しつつ、共産党の野心的な海洋進出や横暴な人権弾圧に対しては、民主主義の同盟国と連携し、国際的なルールに従わせるというものだ。しかし、いまだオバマ時代を超える対中政策の青写真を示せていない。

ジョー・バイデン氏

 一方、習政権の現在の対米戦略は、トランプとバイデンを区別する「二分論」だ。バイデン次期政権の対中政策まで縛ろうと、権力移行期間中にもかかわらず制裁を次々と発動するトランプ政権に、中国は強く反発している。特に激怒したのは、12月7日、香港情勢をめぐり全国人民代表大会(全人代)常務委員会の副委員長14人を制裁対象にし、米国内の資産凍結などを決めたことだ。 共産党系紙『環球時報』は、「友人が来たら『おいしい酒』を、喧嘩を売られたら『ビンタ』を」との見出しをつけた社説を掲げた。

 一方、バイデン側に対して王毅国務委員兼外相は同11日、「中米関係は新たな歴史の分かれ目に来ている。客観かつ理性的な態度を持ちさえすれば、異なる社会制度や文化背景を持つ国家がこの星の上で平和共存の道を探せる」として対話と交流を呼び掛け、コロナ対策、世界経済、気候変動、反テロなどの連携など、「おいしい酒」で誘った。

 習政権は、融和的なバイデン政権との直接交渉で、日本や豪州など同盟国の「団結」を揺さぶる狙いだ。対中対話の重要性を認識するバイデン外交チームはいずれ中国ペースに乗り、米中関係はトランプ時代とは違った展開で進むだろう。