2016年の大統領選でドナルド・トランプの勝利を予測した唯一の男、アラン・リクトマン教授にインタビューした。彼は1984年から現在まで9回の大統領選の勝者をすべて的中させてきたので「大統領選のノストラダムス」とまで呼ばれている。

 2016年は投票日の夕方まで、ありとあらゆるメディアや評論家がヒラリー・クリントンの勝利を予想していた。世論調査に基づいていたからだ。ところが蓋を開けてみると、世論調査ではヒラリーが勝っていたミシガンやウィスコンシンなど五大湖地方のいわゆるラストベルト(錆びついた工業地帯)が全部トランプに転んだのだ。

選挙が迫るトランプ大統領 ©JMPA

「世論調査は信じません」

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 リクトマン教授は言う。

「世論調査なんてものは、その瞬間を捉えただけのスナップショットにすぎません。だから私はもっと大きな視点からの予測システムを開発したんです」

 歴史家であるリクトマン教授は、1860年から120年間の大統領選を精査して、現職の大統領か与党が勝つ時と、負ける時の共通点をチェックしていった。それをまとめたのが「ホワイトハウスへの13の鍵」というシステム。

「13項目中6つノーがあったらアウトです」

「ホワイトハウスへの13の鍵」

 このシステムに従って、今回の選挙を占ってみる。

 まず1の鍵。「与党の支配。与党が下院議会を多数支配しているか?」2018年の中間選挙で共和党は36議席を失って民主党に過半数を支配された。よって答えはノー。

 2の鍵。「与党内に対立候補がいない」いない。イエス。

「トランピストはマスクをしない」 文藝春秋

 3の鍵。「与党の候補者は現職の大統領か?」前回のヒラリーはそうでなかったのでノーになったが、今回のトランプはイエス。

 4の鍵。「集票力のある第3党がいない」ラッパーのカニエ・ウェストが出馬したけど、誰にも相手にされてないようなので、イエス。

 5の鍵。「短期経済は好調か?」ノー。選挙期間中(投票日前の3ヶ月間)、不況になってないか? コロナのせいで旅行、小売、飲食、娯楽、衣料など多くの業界が大打撃をこうむり、失業者は616万人。