昨年末、差別的な発言で炎上した大手化粧品メーカーDHCの代表取締役会長・吉田嘉明氏(79)。吉田氏は差別発言以外にも、従業員に、消費者に成り代わってSNSに“サクラ投稿”をするよう指示していたことや、「愛社精神指数」と呼ばれる指標で賞与額を決めていること、人事評価で低評価の社員を「穀潰し」と呼んでいたことが判明。「文春オンライン」は昨年12月にこうしたDHCの内情を報じた。
そしてその報道直後に不当な懲戒解雇処分を受けたのが、新入社員のAさんだった。2020年にDHCに入社し、研修中だったAさんは、これらの問題について社内で声を上げ続けていた。しかし12月18日、Aさんは人事部の女性社員X氏(40代)に呼び出され、こう告げられた。
「退職してもいいんじゃないか」
X氏は退職勧奨の理由を滔々と語ったが、その内容はAさんにとって、到底納得のいくものではなかった。(全2回の2回目/#1より続く)
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X氏が語ったAさん退職勧奨の理由
退職勧奨を受けて驚くAさんを前に、X氏はその理由を次々に語った。
X氏 「配属が決まらない。その人がその部分に適性がないから、もう少し違うところで適性を測ってみようっていう前向きな気持ちと、やっぱり社会人としての適性だったりとか、働く意欲だったり、積極性の有無っていうところが圧倒的に低いっていう理由があるのね」
X氏 「いろんな部署で評価を受けている中で何れも評価が低いというのは、業務の出来不出来以前の問題だというのが上がってきてしまっているのが正直なところなのね」
X氏 「正直、少し舐めてるところありました? やる気が全く伝わらない」
DHC社員によると「Xさんは会長に心酔していて、会長もXさんを可愛がっています。吉田会長の代弁者のような存在なので、彼女の言うことは絶対。女優の松下由樹さん似の美人で、噂では元レースクイーンだと聞いたこともあります。ほかの社員に高圧的な態度をとることもあるのですが、美人なだけに迫力が凄い」という。
研修では成果を出してきたのに…
Aさんが言う。
「研修では成果を出してきたと思っていたので、落ち込みました。マーケティングの部署でお正月に使うLINEスタンプを考案して採用されたり、ECサイトの課題点を挙げて実際に改修が行われたり、若者向けイベントの企画運営などにも携わりました。それに、先輩が飲みに連れていってくれたり、声をかけてくれたりしていましたから……」
#1でも報じたように、研修先の部署でAさんを高く評価するDHC社員はいた。取材に応じたある中堅社員はAさんについて「リーダーシップもあり、研修中に出される課題にも一生懸命取り組んでいました」と語っている。
12月に発症した突発性難聴についても話は及んだ。Aさんが説明する。