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緊張しやすい人には「血管迷走神経性失神」が起きやすい

 接種後の失神症状については、小児神経内科医で東小金井小児神経・脳神経内科クリニック院長の生田陽二医師が解説する。

生田陽二医師

「注射という極度な緊張状態から解放されると、血管迷走神経性失神といって、副交感神経が一気に優位になり数秒から数分ほど意識を失うことがあります。特に緊張感を抱きやすい思春期の方に起きやすく、当院でも、失神しやすいと分かっている方はベッドで横になった状態で注射を受けてもらいます。仮に失神が起きても、30分も安静にすれば通常の状態に戻ります」

 13年に子宮頸がんワクチン接種後に少女たちがさまざまな身体の症状を訴えた際には、多くの接種医が「うちでは診られない」と取り合わず、少女たちは医療機関をたらい回しにされ、症状を余計に複雑化させたと言われている。

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 前出の倉田医師も、生田医師も口を揃えこう話す。

「どのような症状であっても、まずは患者の訴えを医師が真摯に受け止めることが大前提です」

日本政府が接種再開に踏み切ろうとしないのはなぜか

 子宮頸がんワクチンを巡る状況は前進している。にもかかわらず、日本政府が接種再開に踏み切ろうとしないのはなぜなのだろうか。

 神戸大学医学部附属病院感染症内科の岩田健太郎教授は「少女たちの訴えが発生してすぐ定期接種を一時見合わせた国の対応は間違っていなかった。因果関係が分からない以上、安全性が確認されるまでは当然の判断です」と一定の理解を示す。しかし一方で、「今も接種再開を打ち出さないのは、昔から厚労省の行動原則が『社会から批判されたくない』と市民感情を優先する点にあるからです。日本は科学より市民感情でワクチン政策を決定しており、ACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)のような科学的議論でワクチン政策を決定している米国などに比べて著しく意思決定法が遅れています」と憤る。

岩田健太郎教授

 八木氏も訴える。

「他国でも子宮頸がんワクチンの副反応は問題になりましたが、アイルランドのように行政や医療機関、教育機関、学術団体、メディアが連携して国民に情報を提供し、接種率を早期回復させた国もあります。日本では保護者や接種対象者が何も情報を得られないまま時間が過ぎています」