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桑田はパワポの名手

 桑田が東大のコーチを退任した翌年の2015年、東大野球部は六大学リーグで続いていた連敗記録を94でストップさせている。

 大学生や高校生、さらに小さい子供に教える経験も数多くある。近年盛り上がった高校野球の球数制限などや休養日の導入についても積極的に意見を発信しているが、それも東大大学院で学んだ人体の構造の知識などが裏付けにある。

「野球教室の評判はとてもいいですよ。実は桑田さんはパワポ(パワーポイント)の名手で、『なぜそのフォームで投げるのか』をスライドで説明したりします。彼が元スター選手だと知らなければ、指導姿は大学教授にしか見えません。

 高校生以下の年代については『肩・肘を守るのが大切』というスタンスで、甲子園での投球数なども制限した方がいいという考えですが、昨年くらいから『プロは15球×9イニングで135球完投』という主張もするようになりました。急進的な球数制限派だと思われていただけに、周囲は驚いていました」(前出・スポーツ紙記者)

阿部慎之助 ©️文藝春秋

桑田と宮本の関係は…

 アマチュアとプロでは求められる指導が違うのは納得できる。それは裏返せば「プロで指導実績がない桑田の理論や指導が通用するとは限らない」とも言える。コーチとしての適性、期待値はどれほどのものなのだろうか。

「彼の一匹狼ぶりは筋金入りです。日本の野球界は体質が古いので、DeNAの仁志敏久さん(49)や、元ヤクルトの宮本慎也さん(50)のような“進歩派”はマイノリティ同士でだいたい距離が近いんです。ただそういう選手が集まる場所でも『桑田と仲がいい』という選手の話は聞いたことがありません。野球関係の学会に出席しても話す相手は主に大学の研究者たちで、野球界のコネクションはほぼゼロでしょう。

『投手チーフコーチ補佐』という肩書ですが、現在の投手チーフコーチが宮本なのも気になります。宮本はテレビで見る通りの明るい性格で、一体感を大切にするので桑田とは正反対。

 桑田が全投手を自発的に気にかける指導スタイルを取るとは考えづらいので、現実的には彼の理論を学びたい投手が集う『桑田塾』のような形になるでしょう。ただ、そうやって投手陣の中に“独立国家”ができたら宮本はやりづらいでしょうね……」(前出・スポーツ紙記者)

桑田真澄と原辰徳 Ⓒ共同通信社

 年齢的には宮本が4学年上、巨人入団も1年先だが、投手としての成績は比べるべくもない。その“ねじれ関係”も気になるところだ。次期監督に最も近いと言われる阿部慎之助(41)を筆頭に、桑田にとっては対極のタイプが多い巨人。その最初の関門は、どうやら宮本和知になりそうだ。(文中敬称略)

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