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最強の深夜番組『相席食堂』を生んだ“3枚の企画書” 千鳥が覆した「視聴率のセオリー」とは

『相席食堂』髙木伸也プロデューサーに聞く #1

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ことごとくボツになった企画

――当初から振り切れたものを作ろう、という意識があったんですね。その後、2018年の4月からレギュラー放送が始まり、人気番組になっていく中で、2020年はコロナもありました。番組的にも大変な状況が続いたと思いますが、一方で『相席食堂』の核とは何なのかを問い直す時期でもあったのかなと感じます。コロナを経て、髙木さんの中では『相席食堂』の面白さとは何だと捉えていますか。

髙木 そうですね……。うまく答えになっているかわからないんですけど、やっぱり千鳥ってツッコミが面白いじゃないですか。だからほかの番組のようにショット、ショットの面白VTRを作って、テンポを上げていっても、ちゃんと面白いツッコミをしてくれるとは思うんですよ。でも、それは『相席食堂』が目指すところではないのかな、と。僕らは1オンエアで1作品を見せるつもりでいるんです。その作品性というか、今回の千鳥の漫才はこうですよ、という姿勢は大事にしてますね。

――細切れのVTRを何本も作るのではなく、ツッコミも含めた一つの作品を毎回作っていく、ということですね。

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©ABCテレビ

髙木 逆にいうと、コロナのときはロケに行けない代わりに、めちゃくちゃいろんな企画を考えたんですよ。でも、ことごとくボツになっていて。それは、単発の面白さだったからです。それをやっちゃうと、別に作品を作ってるんじゃなくて、ツッコミを見るだけになってしまうので。

――ボツ案というと、例えばどんなものが?

髙木 これはオンエアしちゃったんですけど、「新しいリモートの形を探す」企画は、ちょっと違いましたね。反対に野球の大会をやったときは、作品を作るつもりでいたからうまくいったんだと思います。これも誰が見たいねん、って話なんですが(笑)。

収録をパブリックビューイングで!?

――徐々にチームが出来上がるのは、RPG感があって面白かったです(笑)。さて、放送開始から3年が経ち、遂にゴールデンタイムでの全国ネット放送も決まりました。その上で、これからの『相席食堂』の目標としては、どんなことを考えていますか。

髙木 『相席食堂』は収録がめちゃくちゃ面白いんですよ。オンエアではカットしまくってるんですけど、これをなんとかお客さんに見せる方法はないかな、と思ってます。もちろん、全部見せる前提だとツッコミ方も変わってくるし、デメリットもあるんですけど、何かいい方法が見つかればなぁ、と。例えばオンラインで収録が見られて、それが実際のオンエアではこうなっていくんや、というのがわかったら面白いかなって。

©ABCテレビ

――もし配信されたらぜひ見てみたいです。

髙木 でも、毎回やるのも面白くないと思うんで(笑)。たまにパブリックビューイングとかでやるくらいが良いかもしれないですね。あとは、年またぎのカウントダウンイベントとか。年が明ける12時までに絶対終わらせないといけない、みたいな条件で、何か枷を作ってやったら面白いと思います。

 番組の中身で言えば、旅以外でも、ショッピングとかドラマとか、色んなジャンルとも組み合わせていきたいですね。いっぱいあると思うんですよ。それこそ、ツッコミ含めて映画にならへんかな、とか。……でもそれは結局、「大悟魂」という原点に戻ることなのかもしれないですね。

後編に続く

INFORMATION

「相席食堂」一夜限りのゴールデンSP
2月2日(火)午後6時45分~(※一部地域を除く)
※関東地区及び岩手県、広島県、熊本県では午後6時45分から、それ以外の地域では午後7時からの放送

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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