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学校に行くのが嫌になった2人が見つけた学校

――ところで、おふたりはどうして全寮制の桜丘高校に入ったんですか?

木多 ここは中学と高校が一緒にあるんですけど、僕は中3の時に関東から転校してきたんです。もともと朝が弱くて、前の中学でもめちゃめちゃ遅刻してたんですよ。しかもそこは姉も一緒に通っていた学校で、姉から「今日も遅刻してたよね」と怒られるのが嫌で嫌で。それで、なんか学校に行くの嫌だなあって思い始めて……。

――学校から足が遠のき始めちゃったんですね。

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木多 その結果、内部推薦もらえなくなっちゃって。で、もう学校行くの完全に嫌になって、家にいたんですけど楽しくないんですよね(笑)。これは自分で環境どうにかして、面白くて悔いのない生活にしないと、って考え始めて、ここを見つけたんです。

大阪からも、名古屋からも、特急と急行を乗り継いで1時間半かかる三重県伊賀市の山間部。のどかな自然に囲まれた場所に桜丘高校はある。ダウンタウンの浜ちゃんが一時期通っていたのもここ。

――自分で学校を探したんですか?

木多 そうです。モータースポーツが好きなんですけど、鈴鹿サーキットがある辺りにいい学校ないかなあ、って探したんです。そしたら、いつでも編入を受け入れてくれる学校があった。

――すごいですね……。中島さんは、どうしてこの学校に?

中島 私も関東から転校してきて、中3の4月に編入しました。前の中学は受験で入ったんですけど、合格してみたら、なんか一山越えたような感覚があって、何となく疲れて「もういいや」って学校に行かなくなった時期があったんです。すると、何のために今の学校に行ってるんだろうとか、何で家にいるんだろう、みたいになっちゃって……。思春期ならではなんですかね(笑)。それであるとき母親と喧嘩になって「寮のある学校だったらいいんじゃない?」って言われたんですよ。で、「わかったよ、自分で探してやるよ」と思って、この学校を見つけました。

 

うまくいっていなかった人たちが、割とここで自分を取り戻してる

――中島さんも自分で探したんですか。

中島 なかばやけくそみたいな気持ちでしたけどね(笑)。編入試験も軽くて済む学校だったので。先生に後から聞くと、不登校の子の受け入れもけっこうやっている学校なので、転入生については試験の成績よりも潜在能力みたいなものを見ているって言っていました。

木多 入る時にはそんなに学力いらないんですけど、高3になると偏差値が60超えみたいな人がけっこういるんですよ。公表されてる偏差値と、生徒の学力には差があると思います。とりあえず、普通じゃない能力を持ってる人が多い。

中島 私もそうですけど、前の環境に馴染めず、うまくいっていなかった人たちが、割とここで自分を取り戻してるんです。だから、環境と戦っちゃうような「とがった人」が自然と集まってる学校なんですけど、こういう人たちが集まると、意外といい組み合わせがあちこちで生まれたり、それまで抑えられていた能力が急に伸びるようになったりしてる。

木多 言っちゃ悪いけど、変な人も多いから面白い。前の学校だと、好きな地理の授業でも、自分の知っていることをどんどん話したいのを我慢しているところがあったんです。そういうので目立つと周りからあんまりいいふうに思われないから。でも、ここだと関係なく自分が出せるから楽です、気持ち的に。

クイズ研究部の練習に参加するふたり。「アルカイックスマイル!」「柳亭種彦!」答えが飛び交う

――秘められた能力が開きやすい環境って面白いですね。クイズ研究部の後輩たちも一風変わってますか?

木多 一番強い子は「なんか学校に行く意味が見出せなくなった」という理由で編入してきたらしいです。本当に強くて、夏休みとかも帰省しないで他校のクイズ大会に参加してるような子なんですけどね。あと、顧問の須田先生も変わってますよ。市役所に6年間勤めてたのに、世界史を教えたいからって急に辞めて教師になったんですよね。

中島 安定した生活だったのに、変わってますよね、先生。

須田先生 まあねえ……。

顧問の須田先生