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「スシ食いねェ!」ジャニーズなのに曲はヘンテコ…シブがき隊の“革命”を仕掛けたのは誰だった?

2021/02/05

 今も昔も話題の中心となるジャニーズアイドル。昭和・平成・令和とコンスタントにスターを生み「中学のとき、どんなジャニーズグループが人気だった?」が人の年齢を当てる目安となるくらいである。

 ジャニーズアイドルの認知度を一気に高めたのは、1979年放送の『3年B組金八先生』(TBS系)の生徒役で人気を博した田原俊彦、近藤真彦、野村義男の「たのきんトリオ」。さらに、ハイスペック集団というイメージを定着させたのが1985年デビューの「少年隊」。しかし、そこに挟まれしキラ星を忘れてはならない。そう、1982年デビューの「シブがき隊」を!

流れるVTRは『スシ食いねェ!』ばっかり問題

 ところが、懐メロ番組で流される彼らの楽曲はほぼ『スシ食いねェ!』である。法被を着、握り寿司モチーフのイヤリングをつけ、ステージ狭しと踊るモックンヤックンフックン。これを見るたびに「ああ、また……」と複雑な思いになるのだ。

 もちろん『スシ食いねェ!』は名曲だということに異論はない。日本が誇る食文化をあんなにご機嫌に歌った曲はかつてなかったし、今後も出てこないだろう。が、このままではシブがき隊は単なる「スシについて歌ったアイドル」として後世に伝わってしまう。シブがき隊は名曲の宝庫なのだ。アイドルソングの流れを変えた、80年代前半の革命くらいに思っている。

『100%…SOかもね!』で第13回日本歌謡大賞放送音楽新人賞を受賞したシブがき隊(左から布川敏和、薬丸裕英、本木雅弘)

 シングルのタイトルをザッと追うだけでも一目瞭然。『処女的衝撃!』『Hey! Bep-pin』『挑発∞』『アッパレ!フジヤマ』『千夜一夜キッス倶楽部』『ラストコールは押忍!』……。作詞家勢の遊びの振り幅が凄まじい。

 つまり、シブがき隊は、80年代前半という歌謡界が最高に元気な時代、遊び心満点なクリエイターをおおいに弾けさせた、とびきり美味しい「素材」だったのだ。

「イキがっている不器用な思春期」がエモい!

 シブがき隊は、1981年から放送された人気ドラマ『2年B組仙八先生』(TBS系)の生徒役、薬丸裕英(ヤックン)、本木雅弘(モックン)、布川敏和(フックン)で結成されたグループである。

 当時は凄い人気で、私も彼らの主演した映画『ヘッドフォンララバイ』を観に行った。ただ、共演の高部知子をほんのり記憶しているだけなので、多分、内容も彼らの演技も薄味だったのだろう。

1986年リリースの『スシ食いねェ!』

 が、音楽面では1stシングルからパンチ炸裂。記憶に殴り込みをかける濃厚な楽曲を連発している。とにかくキャッチー、とにかくオオゲサ!