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作家・沖田臥竜さんらの協力

――エンドロールには『実話ナックルズ』の編集長だった久田将義さんの名前などがありました。作品の取材などはどのようにしていったのでしょうか?

藤井 久田将義さんは、僕がまだ映画監督として売れていない頃に一緒に番組をつくったりして、すごくお世話になった方なんですが、今回の映画では、半グレという存在がどういうふうに隆盛してきたかを教えてもらいました。

 ヤクザについての知識は、作家の沖田臥竜さんです。今は現役の暴力団組員に話を聞くことはできないので、沖田さんにこの映画の「監修」で入ってもらい、いろいろと伺いました。沖田さんは元極道で、お会いしたのは「5年ルール」が終わり、ようやく一般人になったタイミングでした。年齢も「山本賢治」に近くて、ヤクザはどんな金銭感覚なのか、どんな時計をしているのか、普段はどういうところにいるのかなど、ものすごく細かいところまで教えてもらいました。

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藤井監督 ©2021『 ヤクザと家族 The Family 』 製作委員会

取材で得た情報を、詰め込める限り詰め込んだ

――ヤクザの生態ばかりでなく、10代からの友達であってもヤクザと付き合うと「密接交際者」になってしまうため距離を置かれるなど、いろいろな機微が映画では描かれています。

藤井 自分がその立場だったら、すごくつらいなと思ったことだとか、色々ありますよね。刑務所では、ヤクザの受刑者の場合、親族以外は誰も面会できないと聞いて驚きました。この映画の「山本賢治」は身寄りのない独り者なので、獄中で14年間、誰とも面会できなかったわけです。

©2021『 ヤクザと家族 The Family 』 製作委員会

 ヤクザについては全然知らないことばかりでしたが、取材で得たものを脚本のなかに詰め込める限り、詰めました。この『ヤクザと家族』は劇映画ですからフィクションではあるけれども、リアリティに即したものをエンターテインメントとして作っていくっていうのを今回はすごく大事にしたかったからです。(#2に続く)

INFORMATION

『ヤクザと家族 The Family』

https://www.yakuzatokazoku.com/