セルフスタンドの「割り込み」は誤解が原因?
セルフスタンドの順番待ちには明確なルールがあるわけではなく、給油口の向きで順番が前後することもある。スタッフが誘導している場合はそれに従えばよいが、必ずしも誘導があるとは限らない。
誘導がない場合には、自車の給油口の側にあるレーンのうち、早く空きそうなところに並ぶ「フォーク式」が効率的であるように思えるが、人によっては「一番前に並んでいる車が、逆側の給油レーンであっても向きを変えて入ればよい」と考えていることもある。
お互いに割り込みをするつもりがなくとも、「方向転換しているうちに入られてしまった」あるいは「並んでいた列に別方向から入られてしまった」ということが起きうるわけである。スタンド側としても、並び方についてはっきりとした基準をもっているわけではないようだ。
「立地条件にもよりますけど、基本的にはレーンごとに並んでもらった方が安全だと思います。混みやすいスタンドだと、道路まで列が続くことも多いですし。ただ、状況によっては方向転換して逆側に入ってもらう方がスムーズなこともあります。国産車は給油口が左側にある車種が多いので、レーンごとに並ぶと偏っちゃう場合が結構あるんです」
仮に車の給油口が両側にあるのだとしたら、レーンごとに並んでおけば間違いないのだが、現実には左右で偏りがあるため、臨機応変に対応する必要があるわけだ。誘導がない場合には、近くの車がどのように動くのかある程度想定しながら動くことが望ましい。
誘導があっても割り込む猛者も
しかし、誘導があったとしてもトラブルになるケースもあるという。
「普通に皆さん従ってくれるんですが、ごく稀に無視して割り込みをするお客さんもいます。ウチのスタンドには常習の方がいますね、並んでる方向とは別のところから結構なスピードで進入してくる。誘導中のスタッフにぶつかりそうになったこともあって、並んでくれないなら来ないでくれとは言ってるんですけど……」
「もし逆上して暴走したら」ということを考えると、車に乗っている人間に強く注意することもためらわれる。実際に、2015年、岩手県のガソリンスタンドで割り込みを注意されたドライバーが故意にスタッフをはねた事件もあった。
泣き寝入りのようで釈然としないが、逆上した車による煽り運転などが話題に上る昨今、一部の横暴なドライバーに対しては「なるべく関わらない」ことが正解なのかもしれない。