「遺体は虫がわいてきたので冷凍庫に入れた」
「10年近く前、外出先から帰ってきたら同居する母が倒れていました。息をしていないので死んでいると思いました。遺体を隠した理由は、母が亡くなったことが分かると母名義で契約しているアパートから出て行かなくてはならないと思ったからです。遺体は数日経つと虫がわいてきたので、ネット通販で買った冷凍庫に入れ、押し入れの中に隠しました。私はこの場所に住み続けたかったのです」
「母を施設に入れて1人で暮らしています」と言っていた
同じアパートの住人など周囲の人間は誰も遺体の存在に気づいていなかった。吉野容疑者について、ある住人は、
「何年か前に『母を施設に入れて1人で暮らしています』と言っていた。母親は精神的に病んでいたのか、奇声を上げたり暴れたりすることもあったみたいだから」
と振り返る。「介護の仕事をしている」と聞いていた住民もいたが、近所付き合いが薄かった吉野容疑者のことを詳しく知る人物は少ない。
「かつてソープランドで働いていた」
逮捕された時は無職だった吉野容疑者。ある捜査関係者は「かつてソープランドで働いていた」と明かす。
「その時の客で、継続的に体の関係を持っていた男性がいたのだが、その‘’セフレ‘’に2~3年前、『母が死んで葬式をあげるカネがないから20~30万円くらい貸して』と頼んでいた。それ以外の時にも男性に無心していて、借金はかなりの総額になっていたようだ」
滞納した家賃も、立ち退きするよう通告された昨年10月までに合計で110万円に上っていた。千葉のホテルで身柄を確保された時も所持金は5000円だけだった。
10年間にわたり母の遺体を隠し通してきた冷凍庫を置いたままアパートを引き払ったのは、生活困窮で自暴自棄になったのか、それとも、遺体の存在に気づかれず清掃業者が処分してくれるのを期待したのか。警視庁による動機の解明が待たれる。