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2021/02/09

「親しい友人には自分の暗い面を話しはしていません。自分から閉ざしていたのかもしれません。私は生きていることに意味を感じていないので、(白石に)殺されたとしてもそれはそれでよかったですね」

「10人目」になりたい女性たち

 華菜のように、SNSで「死にたい」とつぶやく女性は珍しくはない。しかも、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響だと思われるが、女性の自殺者数が増加した。警察庁によると、20年の年間自殺者数(速報値)は2万919人。前年比で750人増えた。男性は135人減少したものの、女性は885人増えた。特に10月の女性自殺者数は879人。前年同月比で641人、88.6%増で、深刻さを示している。緊急事態宣言があったことで、生活や仕事の環境が変わったため、DVや虐待の件数、性の問題に悩む女性が増えたとも言われている。

現場アパートの前に供えられたお菓子や飲み物 ©時事通信社

 筆者が取材した範囲でも、家族との過剰な接触によって「死にたい」とツイートし、毎晩のように体を傷つけた無職女性、生活リズムの変化による苛立ちからツイッターで自殺予告し、未遂した女子大生、度重なる性被害による鬱状態から鉄道自殺を試みたフリーターの女性、「翌朝、目が覚めなければいい」といって過量服薬をした女子中学生……コロナ禍での苛立ちも手伝ってか未遂の女性が増え、彼女たちのSOSを受け止めてくれる場所や逃げ場がない現状を示している。白石のような存在にすがるしかない、「10人目」になりたい女性たちは増えているのかもしれない。

 厚生労働省は、座間事件後、若者の自殺対策としてSNS相談を始めた。相談窓口が増えたという意味では評価すべきだろう。しかし、若年層の自殺者は減少傾向にはない。なぜ、若者が「死にたい」と思うのかの理由をきちんと見極めることが望まれる。

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出典:「文藝春秋」2月号

 座間9人殺人事件で死刑が確定した白石隆浩死刑囚に拘置所で面会し、また白石と連絡をとっていた女性たちにも取材した渋井哲也による、なぜ女性たちが白石死刑囚に導かれるまま座間へと向かったのかをレポートした「座間9人殺害『10人目になりたかった』女性たち」は「文藝春秋」2月号及び「文藝春秋digital」に掲載されています。

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