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「肝炎にMRIやけど…タトゥーは百害あって一利なし」医師は“医療的問題点”を指摘《ボクシング井岡タトゥー論争アンケート》

「肝炎にMRIやけど…タトゥーは百害あって一利なし」医師は“医療的問題点”を指摘《ボクシング井岡タトゥー論争アンケート》

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特に肝炎についてのリスクは知っておくべき

「特に肝炎についてのリスクは知っておくべきです。肝炎はA型、B型、C型、D型、E型と5つの型に分類され、主に日本人に多いのはB型肝炎とC型肝炎です。B型肝炎に成人で感染すると、ときに劇症肝炎に移行して、意識障害、さまざまな臓器の障害、血が固まらなくなるなどの異常が生じるため、肝炎を起こしたことがわかりますが、C型肝炎は肝炎症状を起こすことが少なくてわかりづらく、気がついたら自分がC型肝炎だったという人が多くいます。

©istock

 C型肝炎に罹ると70%が慢性肝炎になり、ある程度時間が経つと肝硬変、もしくは肝臓がんになるリスクもかなり高くなる。最悪、命を落とすケースもあります。健常者が肝臓がんになるリスクを1としたときにB型肝炎のキャリアの人は380倍、C型肝炎のキャリアは1000倍。肝硬変になった場合は4700倍にリスクが跳ね上がるのです」

タトゥーを彫って感染する可能性はいまだにある

 市田医師によると、ウイルスの感染経路はB型肝炎が性交渉や母子感染。C型肝炎は血液感染がほとんどだという。

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「現在は衛生面も改善されて、彫り師もタトゥーを彫る針を消毒して替えていると聞きますが、以前は不衛生な環境でタトゥーの針を使い回すことで人に肝炎を感染させてしまうことがありました。ピアスも皮膚科などの医療機関ではなく、不衛生な環境の業者で穴を開けたり、無消毒で他人とピアスを共同で使うなどすれば耳から感染することもあります。タトゥーの針はディスポーザブル(使い捨て)ではないと思うので、肝炎の人に使ったものを適切な消毒を怠った環境で別の人に使えば感染する可能性はいまだにあると思います」

MRI※写真はイメージ ©istock

 ウイルス肝炎のリスクだけでなく、冒頭のコメントのように、タトゥーが入った患者はMRIで撮影する際に危険を伴うという。