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「肝炎にMRIやけど…タトゥーは百害あって一利なし」医師は“医療的問題点”を指摘《ボクシング井岡タトゥー論争アンケート》

「肝炎にMRIやけど…タトゥーは百害あって一利なし」医師は“医療的問題点”を指摘《ボクシング井岡タトゥー論争アンケート》

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タトゥーが原因で自らの身体を危険に晒すことがある

「以前はタトゥーに鉄分を含んだ顔料が使用されていたことがありました。井岡選手のようにタトゥーが幅広く施されていると、MRIを撮るときにタトゥーの部分に熱を帯びてやけどしてしまう危険性があります。タトゥーには鉄分以外にもいろいろな成分が入っている可能性があり、その範囲が広ければ、鉄分を含んだ顔料に磁場が反応するリスクがあります。日本医学放射線学会や日本診療放射線技師学会でも禁忌ではないが、『要注意』ということになっていて、検査前のチェック項目にも入っています。もちろん個人差があり、顔料によっても違いますが、人によってはやけどするほど熱くなることもあるので、細心の注意を払う現場の検査技師にはかなりのストレスと負担を強いることになります」

©istock

 海外スポーツではバスケットボール、サッカー、野球などで、ファッションや宗教、精神的な意味合いなどから、タトゥーを施すアスリートが多い。アスリートにとって、ケガは付き物。大ケガを負った場合に身体に彫ったタトゥーが原因で自らの身体を危険に晒し、医療現場も大きなストレスを抱えることになる可能性がある。

試合中にタトゥーが露出した井岡一翔選手 ©AFLO

「ボクサーは頭が重要ですが、頭部だけのMRIはなく、どうしても身体全体をMRIに通さなければなりません。命に関わるわけではありませんが、体が資本のアスリートなら、サッカー、野球、バスケットボールなどどんなジャンルの競技の選手についても、わずかでもリスクのあることは避けた方がいいと考えます」

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 問題なのは、タトゥーを彫ろうと決意した人が、そうした医療的なリスクを説明されることなく、施術を受けてしまうこと。タトゥーには医療的側面からリスクがある、という理解を広めていくべきだと市田医師は主張した。

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