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不倫疑惑に誤認逮捕問題が重なったのが致命的だった
それだけではない。不倫疑惑で揺れた渡会氏の立場を決定的に損なったのが、新宿警察署で昨年10月にあった「誤認逮捕」事件だ。
「ドラッグストアであった万引き事件で、新宿署が防犯カメラに映った犯人と似ているというだけの理由で、全く別のベトナム人男性を逮捕してしまった。逮捕30時間後くらいに気付いて釈放したが、誤認逮捕は大問題だ。ずさんな捜査も明らかになり、刑事出身の署長としては致命的だった」(同前)
不倫という個人の事情だけでなく、職責上の大きなミスがあったことが、誰が見ても明らかな左遷人事を敢行させる大きな理由になったわけだが、ここにもなりふり構わぬ警察庁の強硬姿勢が感じられるという。
「もうおまえは終わりだ」と突きつける酷薄人事
さらに、今回の人事が恐怖をもって語られる理由は他にもある。
「渡会さんは出世願望を周囲に隠さない人。そこに明確に『もうおまえは終わりだ』と突きつける意図が明白です。また、文春に報じられた離婚と再婚の際、渡会さんは前の妻に都内の一戸建てを譲り渡しています。家を失ってでも部下の女性と一緒になったのです。地方に飛ばし、その新しい妻とも引き裂こうとするのが今回の異動です」(渡会氏を知る別の警視庁関係者)
週刊文春は昨年4月に渡会氏の疑惑を報じた際、「監察(警察内の不祥事監督部署)が動かないのが不思議」という警察関係者の声を紹介した。だが実際に動いたのは、監察どころではなく国家機関たる警察庁。下されたのは、家を失い、家族を失った末に、最後まで持ち続けた出世の希望を絶たれる「酷薄人事」だったようだ。