2021年の全日本卓球選手権、女子シングルスで優勝したのは石川佳純(27)だった。

 1月17日、大阪市中央体育館で行われた決勝戦の相手は伊藤美誠(20)。世界ランキングで3位の伊藤は、誰もが認める「現・日本最強選手」である。

5年ぶりに全日本選手権で優勝した石川佳純 ©AFLO

 石川は伊藤相手にゲームカウント1-3と残り1セットまで追い詰められたものの、そこから大逆転。優勝が決まった瞬間には思わず叫び声がこぼれた。ランキング上位の相手に劇的な勝利、しかも全日本選手権の優勝は5年ぶり。優勝インタビューでは目に涙を浮かべ、話が若手世代の台頭に及んだ時には絶句し、そして涙を抑えられなかった。

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影さえ踏ませない人気の秘密は

 石川は今年の2月23日で、28歳になる。トップを争う伊藤美誠と平野美宇はともに20歳で、石川は完全に“ベテラン”の枠に入る。福原愛(32)は、2018年に29歳で引退している。

伊藤美誠 ©JMPA

 しかし、近年は成績で後輩たちに一歩譲ることが増えてきたとはいえ、石川が“卓球界の顔”である事実は揺らいでいない。とりわけ「人気」という点において、石川に並ぶ存在はまだ1人もいないのが現実だ。卓球を長く取材するスポーツ紙の記者はこう話す。

「石川は、試合中と普段のギャップがすごいんですよ。トップ選手は負けず嫌いだったり、我が強かったり、下手をすると取材なのに攻撃的な雰囲気の人も多いんです。それはアスリートとして欠点ではなくて、むしろそういう性格だからこそ相手に勝つことができるのだと思います。その中で、石川の存在は異彩を放っているんですよ」

 石川の“異例さ”はどんなところに現れているのだろうか。