東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が、“女性蔑視発言”の責任をとり、会長を辞任する方向で調整に入った。2月12日に緊急会合を開き、辞任を表明するという。
森氏の処遇について「スポーツマンシップに悖る行為をしたのですから、引責辞任は当然ですよ。それに比べて……」と嘆息する人物がいる。日本レスリング協会関係者のAさんだ。
行為の悪質さに比べて軽すぎる処遇
「今年1月27日、2020年に不適切な会計処理を報じられたレスリング協会副会長兼専務理事(当時)の高田裕司氏(66)の処分がついに決まったんです。1月18日にオンラインで行われた臨時理事会では『辞任は免れない』との意見が大多数でしたし、高田氏も『こういうことを起こして申し訳ない』と責任を認め、自身の進退を協会に委ねていたので、てっきり辞任するものだと思っていました。
ですがフタを開けてみれば、単なるヒラ理事への降格。副会長兼専務理事の役職を解くにとどまったんです。高田氏の行為はアスリートたちを裏切る悪質な行為だった。それに比べてあまりに軽すぎる処遇で、協会内では不満が噴出しています」
国から支払われる専任コーチの報酬を強制的に「寄付金」として集金
高田氏の「悪質な行為」が白日の下にさらされたのは2020年8月12日。共同通信が《コーチ報酬、不適切に会計処理か 国庫補助金、日本レスリング協会》と報じたのだ。全国紙記者が解説する。
「報じられたのは2020年でしたが、不適切な会計処理があったのは2012年のロンドン五輪前後までの約3年間。高田氏はレスリング協会の専任コーチに国から支払われる報酬の一部を、『協会へ寄付するように』と半ば強制的に集金し、16人から計1400万円を集めていたのです。それを被害者でもあった元コーチが告発した。告発を受けて、JOCが日本レスリング協会に調査と報告を命じました」
調査で明らかになったのは、高田氏が集めた「寄付金」の不可解な使い途だった。別の協会関係者Bさんが語る。