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贈り物は「二束三文」の代物だった

「高田氏は、専任コーチから寄付を募る際、『がんばってくれた役員や指導者に何か贈り物をする』と話していたんです。それで1400万円もの金額を集めたわけですから、協会内では『高級時計でもプレゼントするつもりじゃないのか』と噂が流れました。実際に役員らに高田氏から“贈り物”があったのですが、中身は五輪マークや英国の国旗が入った指輪。めちゃくちゃ軽くて、明らかな安物でした。受け取った1人が興味本位で質屋に持ち込んだのですが、『二束三文』と言われたそうです。

 国から支払われる専任コーチの報酬を協会に寄付させる行為は、会計検査院が2012年にJOC加盟の12団体に対し『不適切』と指摘しています。指摘を受けて、コーチに寄付をさせていた全日本柔道連盟では、当時の会長が辞任に追い込まれる事態に発展しました。しかし高田氏は会計検査院の目をすり抜けながら寄付をさせていたのです」

リオ五輪(左から)高田裕司総監督、山下泰裕副団長、橋本聖子団長、吉田沙保里主将、右代啓祐旗手(当時)

大学の特待生から“奨学金のピンハネ”も

 この他にも高田氏は、「週刊新潮」(2020年3月19日号)に、以前監督を務めていた山梨学院大学レスリング部(現在は総監督)においても、特待生に対し“奨学金のピンハネ”をしていたと報じられている。

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 記事によると、大学側から毎月10万円の奨学金を受ける選手に対し、高田氏は「全部持っていたら使ってしまうだろう。俺が管理する」と月4万円を“管理”していた。しかし口座を調べると、数十万円が複数回引き出され、残金がほとんどないことが判明したのだ。約130万円が闇に消えていたことになる。

レスリング女子 伊調馨、吉田沙保里

「高田氏は当初『通帳はないし金もない』としらを切っていたのですが、被害選手とその父親が抗議するとやっと返金されました。しかしこの件が『週刊新潮』で報じられると高田氏が激怒。選手を呼び出し、『これ以上しゃべるな』と迫ったんです。しかし、この“脅迫”ともとれる行為についても『デイリー新潮』(2020年4月18日)が報じました。私たちもこの報道を見て本当に驚きましたよ。高田氏は選手としては著名な方ですが、今は憤りしかない」(同前)