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【巨人】菅野・マイコラス・田口……巨人の命運を握る「新・三本柱」の驚異の安定感

文春野球コラム ペナントレース2017

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「新・三本柱」をリアルタイムで見られる喜び

 あれから23年後の2017年、菅野がチーム日本人右腕ではあの上原浩治以来の17勝、防御率は斎藤が20勝を挙げた89年の1.62すら上回る驚異の1.59(両リーグ唯一の1点台)と沢村賞最有力候補の絶対的エースとして君臨。マイコラスはほぼタイトルを確定させている奪三振だけでなく、12球団トップの188イニングを投げるタフさも武器だ。WBCに参加した菅野に代わり、今季開幕投手を務めたのはこの頼れる助っ人だった。これにより背番号19は開幕3連戦ではなく、4戦目で初登板。昨シーズンは最優秀防御率を獲得するも、常に相手エースと投げ合い中々勝利数が伸びなかった男が今季は順調に勝ち星を積み重ねられたのは、重圧をワリカンできるマイコラスの存在も大きかったはずだ。さらに22歳の田口も躍進。夏場以降、やや息切れした感はあるが、負けない投手としてひとりで貯金10を稼いでみせた。

 このまま行けば菅野、マイコラス、田口の全員が何らかの投手タイトルを獲得の可能性も。新日本プロレスの懐かしの「新・闘魂三銃士」風に言うと、ある意味94年を上回る「新・三本柱」である。3位になれば、ポストシーズンで3人を惜しみなく投入できる巨人の存在は他球団にとって不気味だろう。その前に残り3試合の鍵を握るのも彼らの起用法なのは間違いのないところだ。ローテを崩して先発マウンドを託すのか、それとも誰かをブルペン待機させるのか。2017年の巨人の象徴は「新・三本柱」だった。だから、もう最後までこの男たちに懸けるしかない。

 数年前のV3時代、内海哲也と杉内俊哉のダブルエースがローテを支えていた。だが時は流れ、今季35歳の内海はわずか2勝に終わり、36歳の杉内は1軍登板なし。五冠達成した2012年の2人の安定感は凄まじいものがあった。あの頃は良かった……その通りかもしれない。いつの時代も過去の栄光は偉大だ。ONのV9時代をともに追えた、怪物江川卓の快投をテレビで見た、ゴジラ松井の特大ホームランを球場で目撃した。あぁ羨ましいな、と思う。けど、その代わりに今を生きる俺らは菅野、マイコラス、田口の新・三本柱をリアルタイムで体験できている。

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 何十年後かに、2020年生まれの若い巨人ファンにウザがられながら「17年シーズン? あの13連敗と最強の先発三本柱を知ってるか?」って自慢してやろうと思うよ。

 See you baseball freak……

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/4343 でHITボタンを押してください。

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