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《東日本大震災から10年》「原発建屋の中で全面マスクをしながら昼寝する」 細野豪志が取材した“いちえふ”の日常

細野豪志氏、竜田一人氏対談#1

genre : 社会, 読書, 働き方

note

細野 職場環境は格段に良くなっていて、今は「いちえふ」の食堂で温かい食事が食べられるし、結構おいしいんですよ。あと、ローソンもあるので、スイーツなんかも買えたりする。竜田さんがいた頃はそこまではいってないですよね。

竜田 そこまではなかったですね。でっかい体育館みたいなところにマットが敷いてあって、みんなそこで昼寝しているって感じでしたかね。

※写真はイメージ ©️iStock.com

原発建屋の中で昼寝ができる

細野 当時、ここは大変だったというエピソードをご紹介いただけますか。

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竜田 中の運用がしょっちゅう変わることですね。そのたびに混乱があって、移動するのに使うバスが来るまで1時間待つなんて事態が起こったこともありました。それも少しは改善されてはいるんですけど、「試しにこれやってみよう」っていって大混乱するケースが、今でもあるみたいなので、その辺は、もっと良く考えてからやってほしいというのはありますね。

細野 待つ時間が非常に長いんですよね。作業できない時間は被曝線量を下げるためにできるだけ外で待つ、入ってからも線量の低い場所で待つ、小さな事故でも起こるとまた待つ。待つ時間って、皆さんにとって大変な時間ですよね。

©️文藝春秋

竜田 中で待ってる間の暇潰しをどうするかみたいなね、そういうところはありましたから。今は食堂もできたんで、その辺は結構良くなったんじゃないかな。

細野 でも、あの、何号機でしたっけ。待ってる間、みんなで昼寝してたっていう。

竜田 1号機の原子炉建屋の中ですね。

細野 あのエピソードには衝撃を受けました。原発建屋の中で昼寝、しかも全面マスクをしながら寝てしまう。

竜田 慣れると、あの中でも寝られるようになりますよ。(第2回に続く)

 

《東日本大震災から10年》「原発建屋の中で全面マスクをしながら昼寝する」 細野豪志が取材した“いちえふ”の日常

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