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 全米の興行成績では2億1500万ドルを突破し、その年最大のヒット作となった。約1000万ドル(当時のレートで約22億円)という決して潤沢とは言えない製作費で、この結果を出したことも驚異的である(the-numbers.comより)。

 観客動員数で言えば、「スター・ウォーズ」は未だに全米映画史上第2位の動員数を誇っており、それを上回っているのは唯一、「風と共に去りぬ」(1939年)だけである。翌年のアカデミー賞では、惜しくも作品賞や監督賞などを逃したものの、音楽、編集、美術、音響、衣装デザイン、そしてもちろん特殊視覚効果賞など計7部門を制した。

スター・ウォーズのもたらした革命

 この第一作「スター・ウォーズ」(後に「エピソード4 新たなる希望」と副題がついた)は、映画産業に革命をもたらした。

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 代表的なのは特殊視覚効果である。それまでは各映画スタジオが自前で担当していたが、特撮映画への需要が減ると共に視覚効果部門の役割も減り、ほとんどが部門ごと閉鎖されていた状態だった。ジョージ・ルーカスは、その特殊視覚効果の世界を抜本的に改革し、自分のビジョンに沿った映像を実現するため、新たにILMを設立した。これがのちに大SF映画ブームを巻き起こすことになる。

ジョージ・ルーカス監督 ©文藝春秋

 また、現在の映画製作のスタンダードにもなっているプレビズ(プレビジュアライゼーション)の原点も本作にある。プレビズとは、ごく簡単に言えば資料映像で作られた「動く絵コンテ」のことだ。

 クライマックスで描かれる敵の巨大宇宙要塞デス・スターへの攻撃場面は、目まぐるしいほどのカットが積み重なって構築されている。こうした場面をどのように作ればいいのか、ルーカスは過去の戦争映画や記録映画の場面を編集してスタッフたちに渡した。これによって、彼らは必要な場面の構図や長さを正確に知ることができ、無駄な作業に時間をとられることなく、完成にこぎつけることができたという。