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「このままでは保健所体制が崩壊する」コロナ対応“最前線”に立たされた現場からの悲鳴

「このままでは保健所体制が崩壊する」コロナ対応“最前線”に立たされた現場からの悲鳴

〈ですので、私どもの日常業務では、「この患者さんは感染症の疑いがある」「食中毒の疑いの患者さんがいる」といった医療機関からの通知が“業務の開始”となるのが普通です。これを受けて、実際に拡がりをもつ事例なのかを調査で確かめて対策を打つのが保健所の仕事です〉

 つまり、「診断・治療(医療機関)」と「疫学調査(保健所)」という役割分担があり、通常の場合、保健所にとっては、「医療機関からの通知が“業務の開始”となるのが普通」なのだ。

医療機関より先に前線に立つ事態に

〈ところが、今回の新型コロナでは「医療機関からの通知を受けて」といった通常の業務とは「逆の流れ」となりました。医療機関よりも保健所が先に“前線”に立つ事態となったわけです〉

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〈未知の新型感染症であれば、少なくとも当初は、医療機関で「臨床診断」を行うことは不可能です。今回の新型コロナでも、新たなPCR検査(行政検査)が必要となり、しかもまずは「検査の質」を保証することが最重要課題でしたので、厚労省の依頼を受けた「地方衛生研究所」(全国77カ所)でしか検査はできませんでした。こういう仕組みですから、保健所が検査を仲介することになったわけです〉

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〈また当初は「どの国からの帰国者の感染リスクが高いか」といった情報も行政の側にあったので、「臨床医」ではなく、私ども保健所が“前線”を担うことになりました〉

〈しかし、そのうち「市中感染」が始まり、「誰が感染者か」を「行動歴」で判断できる割合は小さくなっていきました。こうなると、「臨床医」が迅速に判断する方が適切なケースが増えてきます。私どもも途中から国に要望したことですが、その後、PCR検査は「保険適用」となり、保健所に問い合わせることなく、臨床医が自身の判断で検査できる環境が整いました。これによって、業務が逼迫していた私ども保健所も非常に助かったんです〉