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“推し”と恋愛感情は違う……2000年代初頭のハロプロアイドルとオタクたちから見えるもの

今泉力哉(映画監督)――クローズアップ

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なぜ“推し”を公言しやすくなったのか

“推し”を公言しやすくなった理由の1つには、SNSの普及もあるだろう、と今泉さんは言う。

「ファンの当事者感が強まったというか、メディアを通してではなくて、一個人としての意見を公開できるのは大きいと思います。一方で、自分の意見がない人も増えているとも思います。SNS上では、容易に他人の意見に乗っかれますからね」

今泉力哉監督

“恋愛研究会。”の仲間たちはそれぞれ自分の道を見つけ、劔も大阪から東京に移り住むことになる。そんな中、コズミンに大病が発覚する。

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「物語の中で病気になるのって良い人が多いけど、コズミンはズルくてヤなヤツ(笑)。でも仲間たちは彼のことを想う。コズミンもタダでは転ばなくて、SNSを始めて承認欲求を垂れ流す。そこはリアルにしたかったですね」

 東京で働く劔は、〈コズミンごめん。今が一番楽しい〉と胸の内をつぶやく。

「だからといって劔がハロプロを好きじゃなくなるわけでもないんです。どうあっても現在が一番素晴らしい。映画の最後を〈現在〉にして時代を特定しなかったのは、今がいかようにも変わりうると思っているからです」

いまいずみりきや/1981年、福島県生まれ。2010年『たまの映画』で長編映画監督デビュー。13年『こっぴどい猫』がトランシルヴァニア国際映画祭で最優秀監督賞受賞。主な監督作品に『愛がなんだ』『his』など。最新作『街の上で』が4月9日に公開される。

INFORMATION

映画『あの頃。』
https://phantom-film.com/anokoro/

“推し”と恋愛感情は違う……2000年代初頭のハロプロアイドルとオタクたちから見えるもの

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