「大変なことになってますよ」
韓国スポーツ界を揺るがしている“女子バレーボール美人姉妹いじめ事件”について知人の記者に尋ねると、間髪いれずに言葉が返ってきた。彼は日韓のバレーボール界を長く取材しており、現地に知り合いも多い。
「最初は姉妹のスキャンダルだったのですが、体育会系の問題になり、年功序列の問題になり、今では完全に韓国社会そのものの問題として認識されています。トップレベルになるアスリートの多くは中学や高校でちやほやされて育ってますからね、その強い立場を利用していじめやパワハラまがいのことをしてきた選手も多い。下手なことを言うと自分の過去の行いを暴露されかねないけれど、黙っているだけでも風当りが強い。アスリートたちはみな戦々恐々としていますよ」
中学時代の壮絶ないじめを告発
すでにご存じの方も多いだろうが、あらためて韓国で起きた一件をまとめてみよう。
韓国女子バレー界に、姉のイ・ジェヨンと妹のイ・ダヨンという、誇る双子の姉妹がいた。姉はスパイカー、妹はセッターとして韓国代表チームに名前を連ね、2014年のアジア大会では金メダルを獲得。
国内リーグでも強豪チーム・興国生命ピンクスパイダースでプレーしており、“美人姉妹”として2人は女子バレー界の大スターだった。東京オリンピックが開催されれば間違いなく主力として来日していたはずだ。
しかし、華麗なキャリアも輝かしい未来も、もはや完全に過去のものになってしまった。
転落のきっかけは、中学時代のいじめを告発する文章がネット上にアップされたことだ。チームメイトに対する刃物での脅迫や、人間椅子の強制などあまりに内容な苛烈に、それまでのさわやかなイメージは一瞬で吹き飛んだ。本人たちのSNSには罵倒の言葉が次々と書き込まれ、謝罪文を発表してSNSアカウントを削除しても問題は沈静化に向かわなかった。それどころか「私もあの有名選手、有名人にいじめられた」と男子バレー選手や芸能人にまで飛び火する始末だ。